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山﨑武司元プロ野球選手

1968年、愛知県出身。86年ドラフト2位で愛工大名電から捕手として中日に入団。外野手に転向し、96年本塁打王(39本)。2003年、オリックスに移籍するも04年に戦力外。05年に新規参入した楽天入団。07年に39歳で本塁打王(43本)と打点王(108打点)。11年オフに戦力外通告を受け、12年に古巣の中日に復帰。13年に現役引退、現在は評論活動などを行う。通算2249試合、1834安打、403本塁打、1205打点、打率.257。

友人である消防隊ヘリのパイロットが漏らした苦悩「もう、病気になりそうだった」

公開日: 更新日:
東日本大震災、津波で壊滅した仙台市若林区岡田で救助活動をする消防隊員ら(C)日刊ゲンダイ

 東日本大震災から1カ月が経とうとしていた4月7日。楽天はようやく仙台に戻ることができた。

 翌8日、選手は3グループに分かれて被災した学校や避難所を慰問。俺が松井稼頭央らと向かったのは宮城県名取市だった。予定では津波にのまれてしまった閖上中学校や近くの避難所、そして最後に名取市役所を表敬訪問することになっていた。

 目的地に行く途中、小学校の前を通った。そこは避難所になっていて、楽天のバスだと気づいた人たちが手を振ってくれた。窓越しに手を振り返しながら思った。

 バスの中から手を振るだけじゃダメだ。

 俺は他の選手たちにこう言った。

「みんな、降りよう」

 立ち寄る予定にはなかった避難所。同乗していた名取市職員は困惑の表情を浮かべていた。この後には名取市長との面会が控えていて、ここで立ち寄れば予定の時刻に間に合わないからだ。

「いや、ちょっと時間が……」

 困る職員を見ても、譲れなかった。

「市長は待ってもらえばいいでしょう。いいから止めてください」

 俺はそう言って、バスを止めてもらった。

 学校の屋上から見たのは変わり果てた街並み。多くのものをなくし、想像がつかないほど大変な思いをしているのに、こちらに一生懸命手を振ってくれる。そんな人たちを素通りすることはできなかった。

 俺には、震災前からの友人に、仙台の消防隊ヘリコプターのパイロットがいた。その友人が震災の後にこう言っていた。

「救助要請があってその現場に行く途中、家や建物の屋根に避難している人が手を振って助けを求めてきた。でも、救助現場に向かっている途中だから、一度そこを通り過ぎないといけない。救助が終わり、『さっき手を振っていた人たちのところへ戻ろう』と言って行くと、もう波にのまれていなくなっていた。……そんなことが何度もあってつらくて、もう、病気になりそうだった」

 胸が締め付けられた。

 少しでも被害を受けた人たちの力になりたい。楽天は被災地の代表として活動する一方で、被災者でもあった。

 用具係のスタッフさんは宮城県にあった自宅が流されてしまった。場所が仙台空港の近くだったため、津波の被害をモロに受けたという。

「みんなでお見舞金を出そう」

 俺は声を上げた。

「高給取りが出すだけじゃダメだ。 

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