広瀬すずは文芸作品が似合う女優に進化した…「遠い山なみの光」の彼女は必見

公開日: 更新日:

過去の時代の女性を演じているのが特徴的

 広瀬すずの今年の出演作4本を見ると、霊的な世界に生きる3人を描いた「片思い世界」を除いて、どれもが過去の時代の女性を演じているのが特徴的。さらに彼女が4姉妹の末っ子役で出演した、向田邦子ドラマ是枝裕和監督がリメークしたNetflixの「阿修羅のごとく」も、1970年代末を背景にしていて、いずれもクラシックな世界観で物語が展開する。

 一方でコマーシャルでは元気で親しみやすいキャラを継続し、テレビドラマでは亡くなった父親の事件の謎を追うミステリー「クジャクのダンス、誰が見た?」や、現在放送中の「ちはやふる-めぐり-」では高校かるた部のOGを演じるなど、現代的な役柄だ。激動の時代を生き抜いたさまざまな女性像に映画で挑むことで、表現者としてさらに広がりが出てきた。

 女優にはある時期、魅力の幅が一気に広がるときがある。「海街diary」で広瀬の異母姉を演じた綾瀬はるかの場合は、「ホタルノヒカリ」(日本テレビ系)の干物女役でブレークした後、「ハッピーフライト」(2008年)でコメディエンヌに拍車がかかり、「ICHI」(同年)では女性版座頭市に扮して非凡なアクションセンスを見せつけ、青春コメディー「おっぱいバレー」(2009年)でブルーリボン賞主演女優賞に輝くまでに成長。この時期に確立した幅広いイメージが彼女の女優人生を決定づけたといっても過言ではない。

 今年の広瀬すずは、かつての少女のイメージから完全に脱し、歴史ものや文芸作品が似合う、風格のある演じ手へと変化した。映画女優としてどんな演技を見せていくのか。その第一歩として「遠い山なみの光」の彼女は必見である。

(映画ライター・金澤誠)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    福山雅治「フジ不適切会合」参加で掘り起こされた吉高由里子への“完全アウト”なセクハラ発言

  2. 2

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  3. 3

    福山雅治「ラストマン」好調維持も懸案は“髪形”か…《さすがに老けた?》のからくり

  4. 4

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  5. 5

    福山雅治、石橋貴明…フジ飲み会問題で匿名有力者が暴かれる中、注目される「スイートルームの会」“タレントU氏”は誰だ?

  1. 6

    福山雅治イメージ大暴落…「路上泥酔女性お持ち帰り」発言とファンからの"賽銭おねだり”が時を経て批判集中

  2. 7

    フジテレビ「不適切会合」出席の福山雅治が連発した下ネタとそのルーツ…引退した中居正広氏とは“同根”

  3. 8

    山﨑賢人&広瀬すず破局の真偽…半同棲で仕事に支障が出始めた超人気俳優2人の「決断」とは

  4. 9

    福山雅治がフジ第三者委「有力番組出演者」と認めた衝撃…NHKの仕事にも波及不可避、ファンは早くも「もうダメかも…」

  5. 10

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「U18代表に選ぶべきか、否か」…甲子園大会の裏で最後までモメた“あの投手”の処遇

  2. 2

    コカ・コーラ自販機事業に立ちはだかる前途多難…巨額減損処理で赤字転落

  3. 3

    山﨑賢人&広瀬すず破局の真偽…半同棲で仕事に支障が出始めた超人気俳優2人の「決断」とは

  4. 4

    福山雅治「ラストマン」好調維持も懸案は“髪形”か…《さすがに老けた?》のからくり

  5. 5

    永野芽郁&橋本環奈“自爆”…次世代女優トップは誰だ?畑芽育、蒔田彩珠、當真あみが三つ巴

  1. 6

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  2. 7

    ご都合主義!もどきの社会派や復讐劇はうんざり…本物のヒューマンドラマが見たい

  3. 8

    巨人・坂本勇人に迫る「引退」の足音…“外様”の田中将大は起死回生、来季へ延命か

  4. 9

    二階堂ふみ&カズレーザーの結婚に続くか? 広瀬すずにも囁かれる「まさか」のサプライズ

  5. 10

    福山雅治「フジ不適切会合」参加で掘り起こされた吉高由里子への“完全アウト”なセクハラ発言