広瀬すずは文芸作品が似合う女優に進化した…「遠い山なみの光」の彼女は必見

公開日: 更新日:

 ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロのデビュー作を石川慶監督が映画化した広瀬すず(写真右)主演の「遠い山なみの光」が、来月5日公開される。

 本作は今年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され話題を呼んだが、広瀬の出演作がカンヌに出品されるのは、是枝裕和監督の「海街diary」(2015年)以来10年ぶり。その間の成長ぶりには目を見張るものがあるが、特に今年は4作品に主演。「ゆきてかへらぬ」では、大正時代から昭和の初期を背景に、詩人・中原中也と文芸評論家・小林秀雄との間で恋に揺れる新進女優の長谷川泰子を力演。「片思い世界」では、杉咲花清原果耶と生活する、3姉妹の長女的キャラクターで包容力を表現した。来月19日から公開される「宝島」では1952年から72年のアメリカ統治下の沖縄を舞台に、謎の失踪を遂げた恋人を捜し続けるヒロイン、ヤマコをエネルギッシュに演じている。

 そして本作は、1952年の長崎と、1980年代のイギリスを背景に主人公・悦子のたどった人生を描く。広瀬すずは52年当時の悦子に扮し、80年代の悦子は吉田羊が演じている。物語は故郷の長崎を捨て、なぜ渡英したのか、過去の出来事を回想していく。原爆が投下された長崎という土地柄、戦争が人々の心や体に残した傷痕があり、ぬぐい切れない敗戦国のよどんだ空気が漂っている。そんな長崎郊外の団地で暮らす専業主婦・悦子の倦怠感と、日常に自分が埋没していきそうな不安感を、広瀬すずは見事に表現している。また悦子は娘を育てながら、米兵と一緒になって人生を切り開こうともがく佐知子と出会い、刺激を受ける。佐知子をつい最近、カズレーザーと電撃結婚した二階堂ふみ(写真左)が演じているのも注目だ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  2. 2

    巨人が楽天・辰己涼介の国内FA争奪戦に参戦へ…年齢、実績的にもお買い得

  3. 3

    マエケンの「DeNA入り」が急浮上! 古巣広島まさかのNO、巨人はマー君が足かせで動けず

  4. 4

    サッカー界で囁かれる森保J・長友佑都の“お役御免”と大物選手の代表復帰

  5. 5

    ドジャースの“朗希タンパリング疑惑”で大迷惑!米29球団&日本プロ球団こぞって怒り心頭の納得理由

  1. 6

    公明党が「自民との連立離脱も辞さず」の背景…まさかの“国政撤退”もあり得る深刻事情

  2. 7

    囁かれていた「Aぇ!group」は「ヤベぇ!group」の悪評判…草間リチャード敬太が公然わいせつ容疑で逮捕の衝撃

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の抑え起用に太鼓判も…上原浩治氏と橋本清氏が口を揃える「不安要素」

  4. 9

    高市早苗総裁はまだ首相じゃないのに閣僚人事?「内閣の要」官房長官に“激ヤバ”木原稔前防衛相のワケ

  5. 10

    ドジャース大谷翔平は“自信のデカさ”も世界一! 二刀流は「自分にしかできない役割」と会見で断言