とてもニューミュージック的な欽ちゃんの素人いじりとアドリブ感覚
1975年のテレビ界①
今回は特別編「1975年のテレビ界」。
この年のテレビ界MVPといえば、この人しかいない──萩本欽一。
4月から始まった新番組、フジテレビ系「欽ちゃんのドンとやってみよう!」。略称のほうが有名だろう──「欽ドン」。
当時、土曜日の夜といえば、TBS系「8時だョ!全員集合」が「お化け番組」として君臨。その高視聴率はいかにも盤石と思われていた。
しかし萩本欽一は「お化け番組」攻略という、無謀な挑戦に成功する。
対立軸は、綿密なリハーサルを繰り返した計算ずくの笑いが売りの「全員集合」に対して、素人(からのハガキ)を生かして、アドリブの笑いを当意即妙に生み出していく「欽ドン」。
「バカウケ・ややウケ・ドッチラケ」のような流行語を生みつつ、「欽ドン」の人気はうなぎのぼり。番組開始から約半年後、「欽ドン」の視聴率が、ついに「全員集合」を上回るのだ。
それまでも萩本欽一は、コント55号として、坂上二郎を相手に、アドリブの応酬で責め立てるコントで人気を博していた。