とてもニューミュージック的な欽ちゃんの素人いじりとアドリブ感覚
そんな「アドリブ感覚」を縦軸に、「素人いじり」という横軸を加えて、この年、大成功を収めたのである。
さて、このような「全員集合」攻略法を、80年代において再現したのが、同じくフジテレビ系の「オレたちひょうきん族」だ。
しかし「欽ドン」の方法論をより先鋭化、アドリブ中心、業界ノリ内輪ウケOKの「ひょうきん族」が、皮肉なことに萩本欽一を追い詰めていくのである。
80年代前半、「視聴率100%男」と言われ(出演番組の視聴率を総計すると100を超えるという意味)、栄華を極めていた萩本欽一だが、そのほんわかとしたお笑い感覚は、キレッキレのビートたけしや明石家さんまと比べると、いかにも時代錯誤に思えたものだ。
ここで無理やり音楽の話に近づければ、
▼75年(あたり)から始まるムーブメント
▼素人っぽさが売り(=プロフェッショナリズムの否定)
▼長髪でなよっとしてほんわかとした感じ
など、当時の萩本欽一と彼が手掛けたムーブメントは、とても「ニューミュージック」的だったといえよう。そして80年代に入ってから、時代遅れとして取り扱われたのもニューミュージックと同様である。