高速道路の入り口でこちらを睨みつけ…渡哲也の“凄み”を一瞬で感じたエピソード
僕も助手席に同乗していたのだが、たまたま偶然にもその車の前を渡さんが運転する車が走っていて、同じ高速の入り口に入った。渡さんの車は左ハンドルで助手席を越えて料金の支払いをしようとしていたので、僕らの車がクラクションを鳴らした。合図のつもりだったが、渡さんはかけていたサングラスを飛ばすように外して、こちらを睨みつけた。凄い緊張感……。
だが、僕たちを認知した渡さんは「オーッ」という表情をして満面の笑みを返してきた。
「いやあ、凄い迫力だったな。『西部警察』の渡さんの怒った時の顔と同じだった」
「でも、その後の笑顔は忘れられない」
僕たちはそう思った。以前、舘から聞いた話だが、徳重聡ら若手俳優が入ってきた後に渡さんが「ひろし、今の若手は礼儀などがなっていない。先輩としてビシッと厳しく指導しろ」と言ってきたという。舘はすぐに若手を集めて叱責したそうだ。そこで渡さんが顔を出し、「何してるんだ?」と言い出した。
舘が「キチッと意見しています」と答えると、渡は「入ってきたばかりでかわいそうじゃないか。みんな、もういいよ」と解散させたそうだ。
「俺の立場は……」と舘は笑っていたが、渡さんはいつも後輩に優しすぎる舘に、先輩風を吹かせようという意図だったらしい。その舘も、存在感はますます大きくなっている。



















