まだ見ぬ食の世界に飛び込む本特集

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「離島めし」黒岩正和文・写真・イラスト

 日々食べている食材が人類史を動かしていたり、小さな島国ニッポンに聞いたこともないたくさんの美味が隠されていたりと、身近な食の世界には、まだ見ぬ景色が広がっている。今回は、お腹も知的好奇心も満たしてくれる4冊をピックアップしたぞ。



「離島めし」黒岩正和文・写真・イラスト

 日本に存在する400超の有人離島。カメラマンとしてそのすべてを訪れ、延べ訪問回数1600を超えた著者が、胃袋を掴まれた離島の美味をご紹介。

 ユネスコの世界ジオパークにも認定されている島根県・隠岐島。そのおいしさに驚愕したのが、島の岩場に生息する岩海苔を使用した「ばくだんおにぎり」だという。軽く焼いた岩海苔に醤油を塗って包んだだけのおにぎりは、繊維が立ってゴツゴツとして真っ黒な見た目。しかし頬張ると磯の香りが口いっぱいに広がり、ほかでは味わえない美味だとか。

 愛媛県・戸島で印象に残るのが「キビナゴの丸ずし」。寿司とはいえ、酢で締めたキビナゴがのっているのは甘めに味付けしたおから。祭事をはじめとする宴席で食べられる料理で、酸っぱさと甘さの相性がよく、何個でも食べられてしまう魅惑の一品であるという。

 島国ニッポンの住人として、いつか足を運んで食べてみたい。 (光村推古書院 2640円)

「世界味見本帖」ひらいめぐみ著

「世界味見本帖」ひらいめぐみ著

 偏食の著者が一転、都内にある17カ国のレストランを巡り、世界各国の未知の味に挑んだ本書。

 ある日のランチでは、セネガルのチェブジェンを選択。まったく想像がつかなかったが、メニューを読み込んでみると「具材を煮込んだスープで長粒米を炊き込んでいます」との説明が。偏食の中でも好きな部類の炊き込みご飯ではないか!

 運ばれてきた料理には、乱切りにされたニンジン、キャベツ、大根が散らばっており、中央には白身魚が鎮座している。お米はオレンジっぽい色で、全体的に“餡なしの餡かけチャーハン”といった見た目だ。恐る恐る口に運んでみると、豪快な風貌に反して何とも優しいお味! 魚や野菜のうまみが米に染み込み、夕方の商店街を歩くときに感じるような、懐かしいデジャビュを感じたという。

 オバジン、コシャリ、シャモダツィなど、聞いたこともない料理の数々。いったいどこの国のどんな料理なのか、本書で出会って欲しい。 (角川春樹事務所 1760円)

「食べ物が変えた世界史」伊藤敏監修、かみゆ歴史編集部編

「食べ物が変えた世界史」伊藤敏監修、かみゆ歴史編集部編

 今ではごくありふれた食材でも、その伝播をたどれば人類の歴史が垣間見える。本書では、世界を変えた食材や飲料の歴史を解説している。

 ヨーロッパでは紀元前400年ごろには知られていたコショウ。遠くインドから地中海沿岸まで運ばれてくるため大変貴重で、コショウ1グラム=金1グラムの価値があった。15世紀にオスマン帝国が香辛料貿易を独占すると、各国がインドを目指して独自ルートを開発。これが大航海時代の始まりとなり、バスコ・ダ・ガマもコショウで母国に莫大な利益をもたらしたひとりだ。

 現代人の喉を潤すビールは、紀元前3000年ごろのメソポタミアですでに飲まれていた。とくにビールを愛したのがゲルマン人で、改良にも熱心だった。1516年には世界で初めての食品管理法である「ビール純粋令」が作られ、原料が麦芽、ホップ、水、酵母のみに制限されるようになったという。

 トマトにハチミツに缶詰など、60の食べ物とともに歴史を旅してみては。 (朝日新聞出版 1760円)

「人生を救う 名もなき料理」佐々木俊尚著

「人生を救う 名もなき料理」佐々木俊尚著

 ジャーナリストの著者は家庭の料理担当。かつてはレシピ本を見ながら料理していたが、今では冷蔵庫と相談して“名もなき料理”を作っている。本書ではその発想法を伝授している。

 例えば、初心者にもやさしい野菜炒め。しかしレシピ本を見ると、豚肉とキムチ炒めやら、豚肉と野菜の五目塩炒めやら、いろいろな作り方が載っている。材料が揃わないと失敗してしまいそうだ。

 そこで役立つのが、著者による「積み木メソッド」。料理の成り立ちはとてもシンプルで、「①食材は何にするか②塩味は何にするか③さらに別の味を加えるか」のたった3要素を重ねるだけでよい。野菜炒めなら、冷蔵庫にあるありあわせの食材を選び、塩味は塩か醤油か味噌かを決め、みりんなどの甘味、マヨネーズなどの酸味、ショウガなどの風味を加えるかを選ぶ。これだけで、バラエティー豊かな“名もなき料理”が出来上がるというわけだ。

 あすから家庭料理の達人になれるかも!? (ダイヤモンド社 1760円)

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