皇室研究者が高市首相の無責任を喝破「“男系男子”の縛りがご結婚のハードルをかつてなく高くしている」

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高森明勅(皇室研究者、國學院大學講師)

高森明勅氏(C)日刊ゲンダイ

 政府は5月連休明けに皇室典範改正案を国会に提出する方針で、いよいよ大詰めを迎えている。3月16日の参院予算委員会では、「女性天皇は認められますか?」と迫る立憲民主党の蓮舫参院議員に、高市早苗首相が「皇室典範は、皇位は皇統に属する男系男子がこれを継承すると定めております。ですから認められません」と答える場面があった。女性天皇を容認する姿勢を示してきた高市首相が「愛子天皇待望論」を封印しようとしている。

  ◇  ◇  ◇

 ──高市首相は歴史的大勝をした2月の衆院選の公約に皇室典範の改正を掲げました。

 解散・総選挙前は「停滞していたさまざまな議論が加速するのではないか」と期待したのですが、自民党が掲げた公約《「皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする」案を第一優先》を見て落胆しました。そして2月の衆院予算委で小林鷹之政調会長への高市首相の答弁を見てその不安は的中しました。

■無知で無関心をさらけ出した高市首相

 ──高市首相は皇位継承について「男系男子に限ることが適切とされている」「私としても尊重している」と答弁し、すぐに木原稔官房長官が、「皇位継承のあり方ではなく、皇族の養子縁組を念頭に置いた発言だ」と釈明しました。

 あの答弁で高市首相は皇室問題に無知で無関心であることをさらけ出しました。首相が引き合いに出した2021年の有識者会議の報告書は、実は多くの問題点を含んでいます。17年に上皇陛下のご退位を可能にした皇室典範特例法が議決された際にあわせて付帯決議がなされ、「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」「女性宮家の創設等」について、「皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題」と盛り込まれましたが、21年の報告書では「安定的な皇位継承」「女性宮家創設」のどちらに対しても白紙回答で、課題が「皇族数の確保」に勝手にすり替えられてしまっていた。高市首相はそんな報告書に依拠した上に内容を理解すらしていなかったわけです。

 ──高市首相はいわゆる「旧宮家の養子縁組案」を優先し、「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」を後回しにしようとしているわけですね。

 今の皇室典範のルールでは、未婚の女性皇族はご結婚とともに皇族の身分を離れ、二度と皇室に戻ることはできません。敬宮(愛子内親王)殿下は24歳、佳子内親王は31歳。いつ結婚されてもおかしくないご年齢に達しておられます。だから、現状のままだと、やがて皇室は悠仁殿下お一方だけになってしまいかねない。そんな将来を見越して、ご結婚にブレーキをかけられていらっしゃる可能性もあります。女性皇族の方々は未来が不確定な中ぶらりんの状態にさらされてきて、それがさらに続く状況に置かれています。こちらの解決が「第一優先」でなければなりません。

 ──そもそも自民党が優先しようとする「旧宮家の養子縁組案」の問題点は挙げたらきりがありません。

 自民党が示す“皇統に属する男系の男子”とは被占領下に皇籍離脱を余儀なくされた、旧11宮家のうち、現在まで廃絶せずに続いている宮家の子孫を意味します。しかし、具体的に候補者とされる旧宮家子孫の方々は、父親の代から戸籍に登録され、一般国民として暮らしてきた民間人で、ご本人たちは1分、1秒たりとも皇族だったことがありません。そもそもそうした人たちを“皇統に属する”と言えるのかという疑問があります。単に血縁で皇室とつながるのであれば旧宮家だけでなく国民の中のさまざまな家が当てはまります。だから厳格に線引きしないと、皇統の意味が際限なく広がる危険性があります。 

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