(1)今も新宿ピットインのライブは満席
「坂田明をみていると、丁度100メートル競走のつもりでマラソンをしている、走り方しか知らない天才ランナーを想う。こういう人間がオリンピックに出たら英雄あつかいされるか、狂人あつかいされるか、どちらかにきまっているのだが、どうやらヨーロッパでは幸か不幸か前者であったようだ」(「SAKATA BOOK」)
81歳の坂田は今も、100メートルを全力疾走で駆け抜けている。聴き手はそこに圧倒される。その坂田の心臓にはペースメーカーが埋め込まれ、昨年はカテーテルの手術も受けた。右目の視野が狭くなり、見えづらくなったので眼科に行くと「加齢性黄斑変性」と診断された。心臓血管内科や眼科、泌尿器科、歯科などに通い、毎日飲む薬は9種類。それでも昨年はなんと、100回以上のステージに立った。
一人で愛用のサックスを背負い、エコノミークラスでヨーロッパに飛んで演奏する。「すごいですね」と聞くと、「できないことは諦めて、できることの中で精いっぱいやるだけだ」と坂田は言う。その言葉には気負いはなく、いかにも自然体だが、常人にはマネできることではない。


















