(1)今も新宿ピットインのライブは満席
今から60年も前の1965年、ジャズのライブハウス「新宿ピットイン」が開店した。数々の大物ミュージシャンが火花を散らした名店は今も健在だが、そこで毎年2月21日に催される企画がある。サックス奏者・坂田明が参加する「バースデーライブ」だ。
フリージャズ界の最前線で活躍してきた坂田は、今年81歳。日本の戦後が、坂田の人生にそっくりかぶさる。今なお現役でサックスを吹きまくっている姿は、ファンにとってうれしい驚きではないか。バースデーライブは、坂田が旧知のドラマー、芳垣安洋と偶然にも誕生日が同じだったことから話が盛り上がり、20年ほど前から始まった。坂田と芳垣、そしてやはり同じ誕生日のサックス奏者、藤原大輔の3人が名を連ね、ゆかりのあるミュージシャンが結集し、10人ほどで演奏する。今年のライブでは、80ほどの客席は全て埋まり、立ち見が出る盛況ぶりだった。
芳垣は67歳で、藤原は56歳。坂田は年齢でアタマひとつ抜けているが、その存在感は圧倒的だ。縦横無尽にアルトサックスとクラリネットを吹き、唸り、吠えるような歌を聴かせる。凄まじい熱気とみなぎる気迫に打ちのめされた私は、こんな言葉を思い出した。詩人でジャズ評論家の奥成達(2015年に73歳で死去)が、坂田について記したものだ。


















