著者のコラム一覧
佐藤大介共同通信編集委員・論説委員

1972年、北海道生まれ。明治学院大学法学部卒業後、毎日新聞社を経て2002年に共同通信社入社。韓国・延世大学に1年間の社命留学後、ソウル特派員。経済部やニューデリー特派員などを経て、21年5月から現職。「韓国・国家情報院」「中高生から考える死刑制度」「13億人のトイレ」など著書多数。

(1)今も新宿ピットインのライブは満席

公開日: 更新日:

 今から60年も前の1965年、ジャズのライブハウス「新宿ピットイン」が開店した。数々の大物ミュージシャンが火花を散らした名店は今も健在だが、そこで毎年2月21日に催される企画がある。サックス奏者・坂田明が参加する「バースデーライブ」だ。

 フリージャズ界の最前線で活躍してきた坂田は、今年81歳。日本の戦後が、坂田の人生にそっくりかぶさる。今なお現役でサックスを吹きまくっている姿は、ファンにとってうれしい驚きではないか。バースデーライブは、坂田が旧知のドラマー、芳垣安洋と偶然にも誕生日が同じだったことから話が盛り上がり、20年ほど前から始まった。坂田と芳垣、そしてやはり同じ誕生日のサックス奏者、藤原大輔の3人が名を連ね、ゆかりのあるミュージシャンが結集し、10人ほどで演奏する。今年のライブでは、80ほどの客席は全て埋まり、立ち見が出る盛況ぶりだった。

 芳垣は67歳で、藤原は56歳。坂田は年齢でアタマひとつ抜けているが、その存在感は圧倒的だ。縦横無尽にアルトサックスとクラリネットを吹き、唸り、吠えるような歌を聴かせる。凄まじい熱気とみなぎる気迫に打ちのめされた私は、こんな言葉を思い出した。詩人でジャズ評論家の奥成達(2015年に73歳で死去)が、坂田について記したものだ。

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