【隣人たち】不幸な事故がもたらす女2人の理性の崩壊
静かな情景に女性2人の感情が火花バチバチに染まる
何でも打ち明けられる親友同士の2人の女。ところが1人が不幸に見まわれるや、その精神的ショックが肥大化してもう1人に伝播する。かくして女2人が揃って錯乱し、対立していく。メガホンを取ったブノワ・ドゥローム監督が「物語は郊外のドラマから、まさにヒッチコック的なスリラーへと移行します」と語るように、映画はアルフレッド・ヒッチコック的手法で葛藤と恐怖をジワジワと描きあげている。
アリスはマックスの転落を防ごうとしたが、それを果たせず自分を責める。さらにセリーヌの行動に悪意を見出だすことに。ある意味で息子を失ったセリーヌよりも不幸に染まっていくわけだ。そうした深刻な状況を夫たちは理解できない。
ハサウェイとチャステインの演技が素晴らしい。静かな情景に女2人の感情が火花バチバチに染まり、狂気の泥沼に沈んでいく。
本作を見ていると、人間は疑心暗鬼の生き物だと痛感してしまう。隣人と共存することの難しさ、登場人物の理性のもろさなどを目の当りにしながら、「ああ、人間はこうやって壊れていくのだな」とため息が出そうだ。
そのカタストロフィーの先には意外な結末が待っているのだが、物語の流れから「実際にありえる」と妙に納得してしまう。人はみな、ガラスの心で生きているのだ。見終わったとき「ローズマリーの赤ちゃん」(68年)と「赤ちゃんよ永遠に」(72年)を思い浮かべたのは筆者だけだろうか。(配給=ギャガ)
(文=森田健司)



















