「ことばの悩み相談室 これってまちがい!?」広瀬友紀著│「死む」は子どもが自分なりの正解を出した結果
「ことばの悩み相談室 これってまちがい!?」広瀬友紀著
永井愛の戯曲に「ら抜きの殺意」がある。「ら抜き言葉」をひどく嫌う男と平気で使う男との対立をコミカルに描いたものだが、今やテレビなどを見ていても「ら抜き」を使う方が圧倒的に多数だ。
こうした傾向はまちがっていると眉をひそめる向きもあるが、言語学者の著者は、これは日本語の劣化ではなく、むしろ使いやすい方向への進化だと見ている。
本書は、小学生新聞に寄せられた小学生たちのことばに関するまちがいや疑問に著者が答えるという連載をまとめたもの。例えば「答えが正しければ○、まちがっていれば正しい答えを書きましょう」と、3つの2桁の足し算の式と計算結果が示され、その下のカッコに答えを書くという問題。2年生の子は、計算が合っている最初のカッコに○を書いたが、残る2つに(正しい答え)と書いて減点されてしまった。また、「ない」のていねいな言い方をという問題に「ないであります」と書いた子もいる。
このようにまちがいといっても、いろいろなパターンがある。本書には多くの例が取り上げられているが、ここにはまちがいをしないように防ぐ方法は書かれていない。なぜ、それがまちがいとされるのかを考えたり、その疑問にはどんな意味がありそうなのかといったことを問いかけていく。
子どものよくやる「死む」というまちがいは、「読んだ」「飲んだ」が「読む」「飲む」と対応していることから、「死んだ」は「死む」と対応しているのだろうと、子どもが自ら推測した結果だという。「きた(来た)」→「きない(来ない)」も同様だ。つまり大人から教わっていないことばの形をすでに知っている例を材料にして、自分なりの正解を出した結果なのだ。
ジュニア向けの本ではあるが、大人が読んでもことばの奥深さを十二分に楽しめる。子どもと一緒に読むことで、また新たな疑問・不思議が出てくるかもしれない。 <狸>
(岩波書店 1595円)



















