「タイタニック」のジェームス・キャメロン監督を驚嘆させた立ち合いの神秘
■おお、ミラクル!
映画「タイタニック」や「アバター」で知られるジェームズ・キャメロン監督がかつてお忍びで来日した際、力士に会いたいというので、私は当時現役だった魁皇(現・浅香山親方)と土佐ノ海(現・立川親方)に声を掛け、みなで食事に行った。その席で話は「立ち合い」に及んだ。
大相撲の立ち合いで、行司は開始の合図をしない。行司は「待ったなし!」と言って軍配をかえす(正面に向ける)だけだ。
私はキャメロン監督に、「大相撲は、審判らの合図なしに始まる世界で唯一のスポーツ。『始め!』の掛け声も、ゴングもピストルもない。2人が互いに見合って、気配を感じ、呼吸を合わせて立つ」と説明した。
しかしキャメロン監督はにわかに信じない。「それはありえない。誰かが何かで合図をしているのだろう」「合図なしに、なぜあのぶつかり合いができるのか」。
ならば、やって見せようではないかとなって、座敷の畳の上で魁皇と土佐ノ海が見合った。行司役の私が「待ったなし!」というと、2人の「呼吸」だけでバンと立つ。「おお、ミラクル!」。目の当たりにした監督は驚嘆した。


















