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吉田賢フリーアナウンサー

1960年、広島県尾道市出身。83年にNHKに入局し、87年から大相撲中継を担当。以来、定年退職した2025年5月場所まで、実況アナとして活躍した。高校野球、メジャーリーグなど相撲以外のスポーツ中継歴も豊富。出身地にちなんで「しまなみ親方」の愛称で親しまれている。

「タイタニック」のジェームス・キャメロン監督を驚嘆させた立ち合いの神秘

公開日: 更新日:

■おお、ミラクル!

 映画「タイタニック」や「アバター」で知られるジェームズ・キャメロン監督がかつてお忍びで来日した際、力士に会いたいというので、私は当時現役だった魁皇(現・浅香山親方)と土佐ノ海(現・立川親方)に声を掛け、みなで食事に行った。その席で話は「立ち合い」に及んだ。

 大相撲の立ち合いで、行司は開始の合図をしない。行司は「待ったなし!」と言って軍配をかえす(正面に向ける)だけだ。

 私はキャメロン監督に、「大相撲は、審判らの合図なしに始まる世界で唯一のスポーツ。『始め!』の掛け声も、ゴングもピストルもない。2人が互いに見合って、気配を感じ、呼吸を合わせて立つ」と説明した。

 しかしキャメロン監督はにわかに信じない。「それはありえない。誰かが何かで合図をしているのだろう」「合図なしに、なぜあのぶつかり合いができるのか」。

 ならば、やって見せようではないかとなって、座敷の畳の上で魁皇と土佐ノ海が見合った。行司役の私が「待ったなし!」というと、2人の「呼吸」だけでバンと立つ。「おお、ミラクル!」。目の当たりにした監督は驚嘆した。

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