逃避行から35年ぶりに祖国の地を踏んだ岡田嘉子

公開日: 更新日:

<1972年11月>

 11月13日午前11時、日航機440便は定刻よりも15分早く羽田空港に到着した。ショール、コート、スラックス、靴、上から下まで黒で固めた岡田嘉子(当時70)が姿を現し、タラップを一段一段ゆっくりと降りてきた。胸には亡夫・滝口新太郎の遺骨を抱えていた。嘉子にとって35年ぶりの故国だった。

 演出家の杉本良吉と樺太・北緯50度線(当時の日ソ国境線)を越えたのは38年1月3日のことだった。嘉子35歳、杉本30歳の時である。嘉子には竹内良一という伴侶、杉本にも病身の妻がいた。数日後に新聞が報じ、世間は人気女優の突然の逃避行に騒然となった。

 嘉子がスキャンダルで騒がれるのはこれが最初ではなかった。27年3月、映画「椿姫」の撮影中に事件は起こった。ヒロインを演じる嘉子と相手役の竹内良一が揃って失踪してしまったのだ。嘉子は村田実監督と反りが合わず、たびたびぶつかっていた。竹内に相談すると、2人は衝動的に駆け落ちを決めた。

 嘉子と竹内は奈良ホテルの別々の部屋にいた。まだ肉体の関係はなかった。駆け落ちの翌朝、新聞には2人が所属する日活から解雇されたと書かれていた。それからまもなく2人は結婚した。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  2. 2
    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

  3. 3
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  4. 4
    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

  5. 5
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  1. 6
    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

  2. 7
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  3. 8
    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

  4. 9
    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

  5. 10
    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う

    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う