著者のコラム一覧
シェリー めぐみジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家

NY在住33年。のべ2,000人以上のアメリカの若者を取材。 彼らとの対話から得たフレッシュな情報と、長年のアメリカ生活で培った深いインサイトをもとに、変貌する米国社会を伝える。 専門分野はダイバーシティ&人種問題、米国政治、若者文化。 ラジオのレギュラー番組やテレビ出演、紙・ネット媒体への寄稿多数。 アメリカのダイバーシティ事情の講演を通じ、日本における課題についても発信している。 オフィシャルサイト:https://genz-nyc.com

気候変動は規制すべき問題ではない…米国の決定的転換で世界に激震

公開日: 更新日:

 トランプ政権は2月12日、温室効果ガスの排出が人の健康を害するという「危険性認定」の撤回を発表しました。あわせて、全ての車両を含む連邦の温室効果ガス排出基準も廃止するとして、衝撃が走っています。

 2009年に環境保護庁(EPA)が定めたこの危険性認定は、1963年のクリーン・エア法に基づく、温暖化ガス規制を支えてきた法的根拠でした。その撤回は単なる「規制緩和」にとどまりません。気候変動を公衆衛生上のリスクと位置付けてきた科学的判断の破棄であり、今後の気候政策や規制そのものを根底から弱体化させる、決定的な転換といえます。

 トランプ政権はこれまでも、気候科学に対して懐疑的な姿勢を繰り返してきました。トランプ大統領自身が国連の場で、気候変動対策を「まやかし」と呼んだことは象徴的です。今回の規制撤廃についても「消費者の経済負担を減らすため」と説明していますが、国内外からは「化石燃料産業を優先する姿勢」との激しい批判が噴き出しています。

 さらに注目すべきなのは、実はもう1つ重要な発表をしていたことです。EPAは大気汚染規制により「何人の命が救われたか」「医療費がどれだけ減ったか」を数字と金額で示してきましたが、これを廃止するという決定です。それによって人の健康=経済価値という前提は覆され、汚染者(企業)側のコストを主眼に置く方向へのシフトが可能になりました。

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