「フクロウ」ジェニファー・アッカーマン著 鍛原多惠子訳 樋口亜紀日本語版監修

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「フクロウ」ジェニファー・アッカーマン著 鍛原多惠子訳 樋口亜紀日本語版監修

「ミネルヴァのフクロウは黄昏に飛び立つ」(ヘーゲル)という言葉があるように、古来西洋ではフクロウは知恵・知性の象徴とされた。そのほか世界各地でフクロウはさまざまな故事・昔話に登場し、親しまれ(あるいは恐れられ)てきた。「直立した姿勢、大きくて丸い顔、桁外れに大きく、正面を向いた大きな目」という特徴は鳥類の中でも極めて変則的で、見開いた大きな目の表情は思索深げにも見える。知性の化身たるゆえんだろう。フクロウは南極大陸を除くすべての大陸に生息しているが、夜行性ということもあってその生態が詳しく知られるようになったのはごく最近になってからだという。本書は、最新の科学データを使いながらこの謎に満ちたフクロウについて、新たに解明されたことを紹介している。

 鳥は一般に頭の両側に楕円形か円形の目を持つ。なぜフクロウの大きな円筒形の目は前向きに固定されているのか。それは大きさの問題だという。著者の飼うカラフトフクロウは眼球が全体重の約3%。著者の0.0003%に比して桁違いに重い。つまりあの大きな目を収めるには正面を向くしかないのだ。ヒトと同じ両眼視は狩りに最適で、上下左右の視野の狭さは頭を270度回転させることで補っている。また夜行性に特化した暗部での高い視力、並はずれた鋭い聴力など、「空のオオカミ」と呼ばれる狩人の適性を備えている。

 フクロウが不気味に思える一因として、音を出さずに飛ぶことがある。この独特のステルス機能の秘密はカムフラージュと静かな飛翔に特化した羽の構造にある。これらの謎が解明されてきたのは小型の探知機など科学技術の進歩によるもので、そうしたフィールドワークの現場の試行錯誤も描かれている。

 日本は世界最大のフクロウ輸入国でフクロウカフェも人気だが、「カワイイ」だけではなく、その不思議な生態を知ることも大事だと気づかされる。 〈狸〉

(日経ナショナルジオグラフィック 3630円)

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