資産1000億円超 東京や神戸などに14もの大型ホテルを所有
2012年9月18日、日本政府が尖閣諸島(釣魚島)を国有化したことに対して、中国各地で大規模な反日デモが行われた。週末には80超の都市に広がり、一部の参加者が日系の流通チェーンや日本車を破壊するなど過激化。日中関係は一気に冷え込んだ。
中国政府が動いた。国民に日本への渡航自粛を呼びかけた。右肩上がりで増え続けた中国人観光客はピタリと止まった。その影響をもろに受けるN氏にとっては、まさに青天の霹靂。団体ツアーも個人旅行者からもキャンセルの嵐が起こって、どのホテルも閑古鳥が鳴くありさまだった。
「ピンチは、その年の年末まで続いて、従業員の給料やホテルの維持費で赤字だけがどんどん膨らんでいったそうです。それを見て同情する日本人もいれば、“ざまあ見ろ”と陰口をたたく中国人もいました。誰もが彼は再起不能だと思いましたね」(N氏を知る日本人ホテル業者)
しかし、N氏は“日中間の関係悪化は一時的で長くは続かない。日本旅行のブームは必ず再来する”と、確信していた。
そして、N氏の予想通り、日中関係は間もなく改善に向かう。