ピン芸人・寺田寛明 R-1決勝前日も作ってくれたサクサクの揚げ春巻き
寺田寛明さん(ピン芸人・31歳)
2年連続でピン芸人ナンバーワンを決める「R-1グランプリ」の決勝に進出した「めくり芸」の新星、寺田寛明さん。おふくろメシはサクッとした揚げ春巻き。子供の頃から大好きで、母親はR-1の決勝前夜にも作ってくれたという。今も続ける塾の講師の話など経歴も聞かせてくれた。
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子供の頃からずっと作ってくれているメニューの中で一番好きな料理です。物心ついた時から食卓に出ていましたね。僕は揚げもの全般が好きで、中でも春巻きが好き。
オーソドックスな揚げ春巻きで、特別に変わったところはないのですが、中身は野菜がピーマンとタケノコの印象が強かった。それと春雨。他にニンジンや干しシイタケを棒状に細かく刻んで入れるオーソドックスな春巻きです。味付け調味料も醤油、酒、砂糖などシンプル。
野菜を炒めてからひき肉を加え、塩コショウを少々。水気を切った春雨と干しシイタケを加え、春雨の水分が飛ぶ1分ほど炒める。最後に調味料を加える。干しシイタケの戻し汁を入れても可。とろみをつける場合は水で溶いた片栗粉を加える。春巻きの皮に粗熱をとった具を対角線に置いて巻き、棒状に丸める。170度ほどの油でたまに返しながらきつね色まで揚げる。
うちは肉が豚肉。ひき肉というよりはチンジャオロースに使うような大きさの時もあるのが特徴です。でもポロポロと細かい肉です。
皮を巻いてカリッと揚げてくれる。中華料理店の春巻きは外はパリッ、中はあんかけみたいにトロ~ッとしているじゃないですか。でも、母親の春巻きは全体が揚がっていて外と中の差があまりなく、サクサクしている。母親が作ったような春巻きは外で食べたことないかも(笑)。子供に食べやすくしてくれたのかもしれませんね。
春巻きは市販のものだと真ん中で斜めに切られているけど、母親は1本丸ごと出してくれて、かぶりつく。それが子供の頃は楽しくて、ギョーザとかより好きでした。ギョーザの強さと、シューマイの甘さの中間くらいの味覚だったかなあ。お弁当にもよく入れてくれました。
僕はそのサクサク春巻きをトマトケチャップとカラシで食べてました。ちょっとコンビニっぽいですか(笑)。
人前でしゃべる練習になると思って塾講師を
母親は料理上手で、僕がひき肉とか細かいお肉が好きなので、パスタのミートソースをお肉たっぷりで作ってくれていました。見た目はキーマカレーみたいな。僕が喜ぶものを作ってくれましたね。
今も僕は埼玉の実家暮らしなのですが、いつも料理を作ってもらっていて、今年の「R-1グランプリ」決勝の本番の前日に春巻きを作ってくれました。
中学と高校時代に通っていた塾で講師をしています。大学の時に塾長から「講師をやってみたら」と誘われたのがきっかけ。高校2年の時からお笑いライブに出ていたので、「人前でしゃべる練習になるかな」という気持ちで始めたんです。
それから現在まで13年間。ここ数年は生徒全員に芸人とバレて、ある番組が塾に取材に来て、生徒に「先生に売れてほしい?」と聞いたら、「売れたら塾に来なくなっちゃうから売れないでほしい」と答えてた(笑)。
生徒の親御さんにも知られているので、シモネタはできないなと思っています。
去年、今年のR-1の決勝を生徒が家族と見ている中で、シモネタやってお茶の間をとんでもない空気にはできないなと。
僕は芸人を始めた時から親の希望を無視して、心配かけてきたのですが、決勝に行った頃から、母親は応援してくれるように。
決勝の前日に春巻きを作ってくれたのは本当にありがたいですね。去年が最下位、今年は6位なので、来年は3年連続決勝に行き、優勝を狙うつもり。決勝前夜には母親にまた春巻きを作ってもらいたいと思います。
(聞き手=松野大介)
▽寺田寛明(てらだ・ひろあき) 1990年10月、埼玉県出身。独協大学卒。2014年から芸人活動。21、22年と「R-1グランプリ」決勝進出した期待のピン芸人として注目。