バンドゥーラ奏者カテリーナさん「呼び寄せた母親と今でも一緒にボルシチを作る」

公開日: 更新日:

カテリーナさん(バンドゥーラ奏者・36歳)

 ロシアのウクライナ侵攻から4カ月以上。日本で2人しかいない民族楽器バンドゥーラ奏者のウクライナ人、カテリーナさんにとっては一日も早く戦争が終わることを祈る日々が続く。3月には母親を母国から呼び寄せた。母親と今も作るのはウクライナ発祥の郷土料理、ボルシチだ。

 ◇  ◇  ◇

 私はチェルノブイリ原発事故が起きた年に生まれました。事故が起きた時は生後1カ月。一家はキーウに避難しました。その後、原発事故で被災した子供たちを集めた歌と踊りの音楽団ができたので、私はそれに入団してコンサート活動を行っていました。コンサートの会場では原発事故で闘病中の子供たちのために寄付を募っていてドイツやスイス、スペインなど外国に招待されるようになり、10歳の時日本に行くことになったんです。

 当時は20人ほどの子供合唱団で初来日では日本全国をコンサートツアーで回りました。その後何度も日本に来る機会があり、日本が大好きになって「いつかこの国でソロ活動ができたらいいな」と思うようになったんですね。そして19歳の時に日本語学校に入学するために日本に来ることができて、ソロで音楽活動もスタートさせました。

 13歳の時にスペインで初めてバンドゥーラを弾き、その後、日本でもソリストとして演奏するようになったのですが、当時バンドゥーラを演奏できるのは私と私の姉の2人しかいなかった。民族楽器なので、若い人たちは、はやりのギターやピアノの演奏者の方が圧倒的に多かったですね。

 でも、2014年、ロシアのクリミア侵攻の際、ウクライナの人たちは、もっと自分の文化や伝統を大事にしなきゃいけないって考えるようになったんです。あの頃からバンドゥーラ奏者が急に増えました。今では世界でもすごく注目されている楽器になりました。

 ただ、楽器を作っているのはウクライナだけで製作工場は2つしかありません。工場は現在攻撃されている街にあるので楽器も危機にさらされてしまって。しかも、楽器は盗まれてオークションに安く出されたりしているようです。ロシア人がバンドゥーラを弾くことはないから、売ったらお金になると思っているんでしょうね。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった