参院選に挑んだ精神科医・和田秀樹さんが明かす選挙の裏側…「政策を取り上げてもらえなかったのが残念!」
高血圧の基準を160に上げるだけで6000億円が浮く
イギリスで多くの論文や調査を精査した際、血圧160より低い人は薬を飲んでも飲まなくてもその後の死亡率、脳卒中発症率が変わらないとわかったんです。
だから、日本で140から160以下の人が飲んでいる薬ってお金のムダなんですよ。高血圧の基準を140から160に上げると6000億円以上浮き、他のことも調査に基づく医療を行えば、浮く医療費が5兆円になると、東海大学の医療統計学の大櫛陽一先生が試算されたデータがあります。薬の基準を科学的に変えていくことが必要ですね。
私は5兆ではなく10兆円を減らせると考え、すると国民の手取りが年間10万円増える。現実味のある政策なので、それなりの票になるだろうと思ったんです。
■マスコミは製薬会社に忖度したのかな?
──その政策を伝えるのに、反発もあって大変だったのでは?
どこのマスコミにも取り上げてもらえず、ほとんどの国民には伝わらなかったと思います。マスコミは製薬会社に忖度しているからじゃないかと思います。結構、いい主張しているのに(笑)。
──選挙結果を知った瞬間と今後については。
3万4000票とれましたが、僕からすると大惨敗。結果を知った瞬間に、マスコミには取り上げにくい政策だとはっきりわかりました。
NHKのラジオのレギュラーが決まっていたのですが、選挙後に番組スタッフから、「今後も政治活動を続けるおつもりですか」というメールがきましたから、テレビ、ラジオを通して伝えるのは結構難しいとは思っています。今は週刊誌など紙の媒体以外に味方がいない(笑)。
ですから、今後は総合医療などでムダな薬を減らすための地道な啓蒙活動を続けます。講演会などで各地を回り、私の考えが浸透するまで3年くらいはかかるでしょう。その間に、年会費は安くていいので、サポーターを増やしたい。今度はしっかり準備して、次の選挙の瞬間をめざします。 (聞き手=松野大介)
▽和田秀樹(わだ・ひでき) 1960年6月、大阪府出身。東京大学医学部卒。精神科医、臨床心理士、作家、映画監督など多分野で活動。著書「80歳の壁」がベストセラー。政治団体「幸齢党」代表。