WOWOW<上>加入者増の記録途絶える 動画配信サービス台頭で
新型コロナウイルスが流行して1年。外食産業や観光産業などはコロナ禍により壊滅的な打撃を受けている。しかし、影があれば光もある。逆にコロナ禍の恩恵を受けた企業も珍しくない。
その代表とも言えるのが定額動画配信サービスのネットフリックスだ。「愛の不時着」と「梨泰院クラス」は昨年大ヒットした韓国ドラマだが、いずれもネットフリックスで配信された。昨年春の緊急事態宣言で外出もままならない時期、多くの人がこのドラマにハマった。おかげでネットフリックスの国内加入者は一昨年9月の300万人が、昨年9月には500万人へと急増した。
しかし、ネットフリックス同様、定額でエンターテインメントコンテンツを提供しておきながら加入者を減らし続けているのが、有料衛星放送のWOWOWだ。
1月末に発表された21年3月期第3四半期決算によると昨年12月末時点の加入件数は278万1000件と、期初に比べ7万4000件減っている。仮に通期でも加入件数が減れば2期連続となる。田中晃社長は、「コロナ禍によりスポーツイベントや音楽イベントが延期・中止になったことで7月まで苦戦した。8、9月は大坂なおみが2度目の優勝を果たした全米オープンテニスなどにより加入者を増やしたが、挽回できなかった」と説明するが、同時に「動画配信サービスの台頭の前に存在感を示せなかった」とも語り、ネットフリックスなどのあおりを受けたことを認めている。