証券業界の新潮流① 若手投資家の急増はなぜ起きた?
年の瀬なので、証券業界の新しい潮流について書きたい。一つは、個人による証券投資口座の開設数の急増だ。今年9月集計で、業界全体の証券口座総数は2876万。2年前からほぼ2割、約430万口座も増加している。普通、コロナ禍では財布のヒモを固くして資産防衛に回るものと考えがちだが、逆のことが起きているのだ。
その背景を考えてみたい。
①「儲かる相場」の出現ーー。2020年2~3月のコロナ感染拡大により、世界中の株式市場で暴落が起きた。ここで大損した投資家も多かっただろうが、結果として、あの暴落劇は“大バーゲンセール”であり、直後の巨額財政出動や米国株主導により、コロナ前を超える世界的な大幅株高が起きた。これを見た多くの若者層が「なんだか株はもうかりそうだ」と、株式投資に興味を持ち、口座開設を始めたのである。
②制度面の後押しーー。株式投資に興味を持った若者たちは、NISA(少額投資非課税制度)を通じて、今までなじみのなかった投資信託の積み立てを始めた。21年9月末、証券会社のNISA口座数は1067万で、20年末比からアッという間に16.7%も増加した。特徴的なのは、投資未経験者の割合であり、「一般NISA」では46.2%、「つみたてNISA」では86.2%に達している。シロウト投資家がドッと増えたのだ。