小林節
著者のコラム一覧
小林節慶応大名誉教授

1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院のロ客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著)

<第1回>国民の反対が少ない項目から議論を始める間違い

公開日: 更新日:

 9条を改悪して容易に海外派兵できる国にすることと、96条を改悪して与党がいつでも改憲発議をできるようにすることは、自民党の悲願であるが、それを直接追求したのでは分が悪いので、まず、評判の良さそうな環境権の新設と私学助成の合憲化を通して有権者の「改憲アレルギー」を解消してから9条と96条に取り掛かろう……という作戦である。

 しかし、そのような考え方は2つの点で間違っている。

 第1に、それは見え見えの迂回作戦であり、本命の9条と96条の改悪に向けた自民党の改憲草案がとんでもない代物であることが既に公知である以上、これで国民の改憲アレルギーを解くことなどできないであろう。

 第2に、緊急事態に人権を制約する根拠を政府は現行憲法の12条と13条の「公共の福祉」で説明しているし、環境権は、全ての人権の共通要素である「幸福の追求」の保障(13条)から導き出せるし、「公の支配に属しない」私学に対する助成金も、適切な監査があることで正当化しているし、裁判官の報酬の減額も、現行憲法下で、裁判官の身分保障に反しない範囲で既に実行されている。だから、全て、急いで改憲しなくても何の不都合もない。全く説得力のない口実である。

▽こばやし・せつ 1949年生まれ、65歳。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。慶大教授を経て現名誉教授。憲法、英米法の論客として知られる憲法学会の重鎮。「白熱講義!日本国憲法改正」など著書多数。

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