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孫崎享
著者のコラム一覧
孫崎享外交評論家

1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。

「正しいと思うことを」外務省時代に教わった官僚の在り方

 1980年前後、在ソ連大使館で書記官として働いていた。ソ連がアフガニスタンに侵攻したころである。この侵攻以前に米国がドイツに中距離弾道弾を配備し、ソ連の安全保障環境は押し込まれる状況になっていた。

 私は侵攻を一方的な攻撃とみなすべきではない。追い詰められている状況が侵攻を生んでいると、東京に報告していた。

 その後、東京に帰ることになった。当時のソ連大使は故・魚本藤吉郎氏である。外務省では「仏の魚本」と呼ばれるほどの人格者という評判だった。帰国前、魚本大使が「2人で飯を食おう」と言われた。私はとっさに、これは帰国にあたって説教されると思った。

 魚本大使は「君も帰れば課長になる。だから言っておきたい」と切り出してきて、さらに叱られる予感が現実味を帯びてきたと思った。しかし、彼はまず、こう言った。

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