著者のコラム一覧

保阪正康作家

１９３９年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。２００４年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史　縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く歴史が暗転するとき』（講談社）として好評発売中。

保阪正康日本史縦横無尽

指相撲、腕相撲を経て日中戦争はまさに「大相撲」の様相に

公開日：2021/03/11 17:00　更新日：2021/03/11 17:00

南京還都に際しトーキー吹き込みの汪兆銘＝1939（昭和14）年10月（Ｃ）共同通信社

　この頃、近衛首相が陸軍の中堅将校に執拗に脅かされていたとの証言もあった。近衛が和平の動きを進めるとの情報が入ると、「（陸軍内部の結社である）皇戦会を握る青年将校は、サーベルをもって近衛首相を恫喝した」（「敗因を衝く　軍閥専横の実相」田中隆吉）というのである。近衛が嫌気がさすのが…

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