“勝ち気で自信過剰”とも評された佐々木朗希はロッテ時代、軽いウエートを指摘され「160キロ出ますから」
2024年11月の記事③を再掲載
佐々木朗希が不甲斐ない投球を見せるたび、SNS上では辛辣な声が吹き荒れる。高卒3年目に1試合19奪三振の日本記録、史上最年少の20歳5か月で完全試合を達成するなど投手として圧倒的なポテンシャルを持ちながら、なぜここまで叩かれるようになったのか。
その背景には、ファンから「ゴネ得」とも揶揄された米挑戦騒動がある。23年オフに大きな物議を醸した古巣ロッテとの泥沼交渉劇、24年シーズンの不完全燃焼、そしてタンパリング疑惑まで取り沙汰されたドジャース入り──。日本球界最後の1年に何があったのか。当時の記事で振り返る。年齢、肩書は当時のまま。
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佐々木朗希(23=ロッテ)のメジャー挑戦が本決まりになって、本命視されるドジャース以外の球団が続々とラブコールを送り始めた。
日本時間12日、ヤンキースのブーン監督が今季を総括するオンライン会見で佐々木に言及。「我々は彼が特別な才能の持ち主だと知っている。メジャーの先発としてエースになれるレベルだ。我々も彼の移籍候補のひとつに入ることを望んでいる」と話した。
米大リーグ公式サイトは同日、カブスが佐々木争奪戦に参戦すると報じた。ホイヤー編成本部長は8月30日、ソフトバンク打線を7回3安打無失点に抑えた佐々木の投球をネット裏からチェックしている。
さらにパドレスも水面下で動いている。フロント幹部が時折、来日しては佐々木の投球を視察しているし、チームには佐々木が慕っているダルビッシュ有(38)もいる。
佐々木はドジャース入りが最有力、デキているとか、密約があるとの情報まで飛び交うほどだ。そんなウワサを否定したのが佐々木の代理人であるジョエル・ウルフ氏。「移籍先は決まっていない。決まっているとしたら、他球団はフロント幹部を日本に送り込んで彼のことを調査したりはしない」と、11日付「USA TODAY」(電子版)でコメントしている。
代理人が密約を認めようものなら、ドジャースはタンパリング(事前交渉)でフロント幹部が処分される。仮に密約があるとしても「ある」と言えないわけで、密約の真偽は定かではない。しかし、密約があろうとなかろうと、ドジャース以外の球団が佐々木獲得を諦めていないことは事実だ。ア・リーグのスカウトがこう言った。
「佐々木は希代の負けず嫌い。勝ち気で、時には自信過剰とも受け取れる性格だと聞きました。今オフのメジャー挑戦が決まると『世界一の選手になりたい』ともコメントした。ハングリー精神が旺盛なわけで、他球団はそこに付け入る余地があると踏んでいるのではないか」
佐々木が、まだ筋力トレーニングに力を注いでいなかったころの話だ。
いかにも体の線が細いことを危惧した首脳陣のひとりは佐々木に、だれもが知っているようなメジャーの剛速球投手の固有名詞を出して、「見ろよ、あの筋骨隆々の体を……」と水を向けると、本人は「球は速いかもしれませんけど、ストライクが入らないじゃないですか」と答えたという。
メジャーでも名うての剛腕はコントロールに問題があるが、自分はそうじゃない。160キロを投げてなおかつ、その剛腕よりも制球がいい。だから必ずしも、筋骨隆々になる必要はないと言いたかったのだろう。
あるとき佐々木がウエートトレーニングをしていると、同僚から声を掛けられた。
「そんな軽いのを上げているんだ……」
すると、本人はこう言い返したという。
「それでも160キロ出ますから」
これらのやりとりを伝え聞いたロッテOBのひとりは、「本人はいますぐ海を渡ったとしても、バリバリ活躍できると思っているのでしょう。まだ筋力が足りないことを自覚している佐々木の強がりですよ。人に負けたくないという気持ちはだれよりも強いですからね」と話している。
ドジャースは今季、4年ぶりにワールドシリーズを制覇した。
2年連続本塁打王を獲得して前代未聞の「50(54本塁打)-50(59盗塁)」を達成した大谷翔平(30)だけではない。MVP実績のあるベッツ(32)とフリーマン(35)に加え、投手では山本由伸(26)やグラスノー(31)らメジャーでもトップクラスのポテンシャルを持った選手が顔をそろえる。今季はメジャー最多の98勝をマーク、12年連続でプレーオフに駒を進めた「常勝球団」だ。いわば「勝つのが当たり前」のスター軍団に加入して結果を出すことが、果たして「世界一の選手」になりたい佐々木の意に沿うのか。むしろメジャーの頂点に君臨する大谷やドジャースをやっつけ、ギャフンと言わせてこそ「希代の負けず嫌い」ではないか。
ヤンキースもカブスもパドレスも、そんな佐々木の勝ち気な性格、ハングリー精神を見込んで獲得に名乗りを上げているに違いない。


















