2026年秋 「羽根モノ」続々リリースで、パチンコは多様化の時代へ =前編=

公開日: 更新日:

パチンコ全盛の1991年

 宮沢りえの写真集「Santa Fe」(撮影:篠山紀信)が155万部の爆発的ベストセラーとなり、世の男性を虜にしたのは、1991年のことだった。

 武田鉄矢が浅野温子に向かって「僕は死にません! あなたが好きだから!」と叫んだ「101回目のプロポーズ」が、トレンディドラマの歴代最高視聴率を叩き出したのも、1991年のこと。

 ディスコ「ジュリアナ東京」のお立ち台の上で若い女性たちが踊り、土俵の上で「若貴フィーバー」が巻き起こったのも、1991年。

「カルピス・ウォーター」が大ヒットし、「紺ブレ」が流行し、「愛は勝つ」が日本レコード大賞を受賞したのも、1991年。

 そんな1991年に、人々が夢中になっていたことが、もう1つある。

 パチンコだ。

 総務省統計局「社会生活基本調査」(5年ごとに実施)によると、1991年のパチンコ参加人口は2316.5万人。「パチンコ」が初めて1つの項目として調査された1986年の数値は約2100万人で、1996年は約2032万人と減少に転じ、以降は現在まで下降の一途をたどっていることから、1991年前後がパチンコの参加人口のピークだったと考えられる。

百花繚乱でパチンコは国民的娯楽に

 1991年といえば、史上初のカラー液晶搭載機「麻雀物語」(平和)が登場した年だ。同時に、2回権利物の「バレリーナ」(平和)、アレパチの「アレキング」(藤商事)、羽根モノの「サンダードラゴンGP」(SANKYO)なども大ヒット。

 前年(1990年)には一発台の「ジャスティ」(西陣)、「アメリカンドリームP1」(豊丸産業)、羽根モノの「ザ・トキオ」(平和)が登場した。翌年(1992年)にはドット式のデジパチ「ブラボーキングダム」(平和)、9分割液晶画面のデジパチ「フィーバーパワフルⅢ(SANKYO)」、ドラム式のデジパチ「エキサイトビューティー」(ニューギン)、ドットに「V」が出ると以後3連続「V」となる「たぬ吉くん2」(京楽)、芸能人タイアップ機のさきがけとなった羽根モノ「オロチョンパⅡ」(SANKYO)、権利物の「ダイナマイト」(Daiichi)などが人気を集めた。

 まさに、百花繚乱の時代だった。

 羽根モノが、一般電役が、デジパチが、権利物が、アレパチが、一発台があった。

 誕生したばかりのカラー液晶機が、ドット機が、ドラム機が、7セグ機が、役物機があった。

 プレイヤーには、ありとあらゆる選択肢が与えられていた。

 ビギナーも、ベテランも、ライトユーザーも、ヘビーユーザーも、おのおのが夢中になれるマシンを見つけることができた。

 だからこそ、パチンコは「国民的娯楽」のポジションについたのだ。

現在のパチンコはLT(ラッキートリガー)機が主流

 隆盛を極めた当時から35年、現在のパチンコの状況はどうだろうか。

「だいぶ、様変わりしましたね」と分析するのは、パチンコライターであり、YouTuberでもあり、レトロ台の収集家でもある邦彦氏(51)だ。

「僕自身、パチンコ全盛期を知っていますが、その頃と比べると、今は偏っていると感じます。現在は『ラッキートリガー(LT)』を搭載した機種が人気。要は、”LTに入れば大きな出玉を見込める”という台です。これは本当に素晴らしい。ただ、そのしわ寄せもあって、通常時の玉持ちが悪いから投資スピードも早かったり、なんの足しにもならないような出玉の少ない大当りがあったりするんです」

 この「LT機」では、その楽しさを味わえるのは、ごく一部のプレイヤーだけだ。

「すごくわかりやすく言うと、たとえば大当りの楽しさを味わえるのは100人に1人で、残りの99人はあまり楽しめないままストレスを抱えて帰る、みたいな。以前はそうではなくて、100人いたら20人は楽しめていたわけです」

 邦彦氏はLT機が悪いわけではないと言う。

「そういう勝負が好きな人がいるのも事実です。だからこそ、メーカーも開発するし、ホールも導入するわけですから。ただ、みんながみんな、そうではないよねっていう。LT機があってもいいけど、今はそれに寄り過ぎちゃってる。今はそんな状況ですね」

 実際、パチンコユーザーの減少も感じている。

「僕は今年、YouTube(チャンネル名「パチンコライター邦彦のレトロ台と海物語」)で、47都道府県で『海物語』(三洋)で当てる』という企画をやっているので、全国のホールを見てるんですよ。肌感覚的には、東京とか大都市よりは地方の方がまだユーザーは多いですが、それでも全体としては減っていると感じます。業界のニュースなんかでも、ここ数年、パチンコ人口の減少というのはずっと言われていますよね」

今秋から低中射幸機導入へ

 そんな状況に、メーカーも手をこまねいているわけではない。

 メーカーの業界団体である日工組(日本遊技機工業組合)は、今年6月3日に開催された通常総会の事業計画の中で、様々なユーザーのニーズに応えるため、多種多様な遊技機の普及を目指し、優しく遊べる「低中射幸機」の導入促進を図る事などを発表した。その低中射幸機の1つでもある羽根モノに関しては、一部の構造や性能が変わり、開発の幅が広がっていることが明らかになった。

 また、この秋からは、各メーカーから羽根モノがリリースされる予定だ。

 あれから数ヶ月が経った今、低中射幸機や羽根モノの導入を促進するというこの方針に、メーカー各社は具体的にどのように向き合っているのだろうか。

SANKYO「KUGITAMA」プロジェクトのプロダクト施策で羽根モノ登場

 SANKYOは、約1年前から「KUGITAMA」(釘玉)プロジェクトを進めてきたが、今秋以降、そのプロジェクトを加速させる。

 同プロジェクトの担当者でもある、経営企画部の中江芳明氏はこう話す。

「本プロジェクトはデジタル、リアル、プロダクトの3つの施策を展開しています。その中のプロダクト施策として、11月にホール様へ設置予定の羽根モノ『P羽根BASTARD!! -暗黒の破壊神-』を発売しました。現在、全国に設置されている羽根モノの総台数は約1万2000台と想定しています。そんな中で、弊社代表取締役社長の小倉は先日、『SANKYOに限らず、業界全体として羽根モノの設置台数5万台を目指す』と宣言しました。そのためには、ホール様に導入・普及していただくための仕組み作りが必要だと考え、プロジェクトとして低価格レンタルプランを用意しました。料金は月額2万円(税抜き)で、営業担当からは、ホール様から今のところとても良い反応が寄せられていると聞いています」

 羽根モノ全盛期には数々の名機を世に送り出し、ユーザーを夢中にさせてきたSANKYOだが、近年は全くリリースがなかった。「P羽根BASTARD!! -暗黒の破壊神-」は、2019年の「羽根モノ スカイレーサー」(※グループブランドのジェイビー)以来となる羽根モノだ。

「私たちは羽根モノに価値がなくなった、面白くないから減っていった、そういうわけではないと考えています。現在は市場が高射幸な機種を求める傾向が強いので、弊社としてもニーズに合わせた機種づくりを進めてきた、という経緯があります。一方で、遊技人口は減少傾向にあり、この状況の中でどう向き合っていくかは現場でも大きなテーマです。ホール様、ユーザー様、メーカーの皆様にとって良い形を作っていくために、あらためてパチンコ本来の面白さを見直す必要がある--、そうした考え方のもとで『KUGITAMA』プロジェクトが始まり、私も担当としてかかわっています。今後、羽根モノを含めたより遊びやすさを意識したスペックの新機種を継続的に発売できるよう、準備を進めています。加えて市場ニーズに合わせた機種も含めて幅広くラインアップをそろえ、最終的には選べる機種が増えることで、ユーザー様が増えてくれれば、と思っています」

「KUGITAMA」プロジェクトも、パチンコ人口を増やすために行っているものだ。

「体験型のリアル施策として、8月29日からは東京・渋谷のMIYASHITA PARKで行う『釘玉夏祭り』を皮切りに、その後もロングスパンで全国でポップアップの体験イベントを開催する予定です。弊社が新機種の広告・宣伝以外で、このようなイベントを行うのは初めてですので、それだけ本気だと思っていただければ。新規層を取り込んでいかないと、パチンコに未来はない、経営陣も含めて、そういう認識です」

 リーディングカンパニーであるSANKYOが、業界全体のために、危機感を持って動き始めた。

「私自身も、たとえば、少し残業して18時半~19時ごろに退勤し、夕食をとって地元に帰ると、20時過ぎなんですよね。そこから2時間半では、打つ機種があまりありません。今まで選択肢がなかった仕事帰りのスペースに、羽根モノや遊べる機種が導入されていけば、私ももっと打てるようになります(笑)」

【後編につづく】

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    バナナマン日村勇紀の幸せ休養生活 “愛妻”神田愛花アナとのベッドからは唐揚げがポロリ!

  2. 2

    中日次期監督に工藤公康氏が選ばれて、桑田真澄氏が落選したワケ…元SBコーチ「工藤野球」の正体明かす

  3. 3

    参院立ち往生で簗農相ジ・エンド…「知恵袋のやなちゃん」辞任第1号秒読み

  4. 4

    坂口健太郎「kiDnap GAME」視聴率より痛い“吹き替え問題”…イ・ジュンギのファンまで反発したフジの選択ミス

  5. 5

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  1. 6

    高市首相“利益誘導”自慢の呆れたセンス…国交省1兆円交付金「確保」335回もアピール

  2. 7

    広島が元ヤクルト監督・GMの小川淳司氏を編成担当で招聘した「本当の理由」

  3. 8

    『ディグ・イット』名曲の直前に入っているせいで“しょうがなく”聴かされる

  4. 9

    山川穂高が「4.5億円の置物」に…ソフトバンクが頭を痛める“引き取り手”の付かない厳しい現実

  5. 10

    芳根京子「べっぴんさん」はNHK朝ドラ〈ヒットの法則〉を実践していた