MLB放映権倍増「300億円」に現実味…大谷ドジャースが活躍するほど“血税”含む日本マネーが流出
活躍すればするほど、存在が遠くなりかねない。
14日、3年連続4度目のMVPを満票で受賞したドジャースの大谷翔平(31)のことだ。
MVP受賞が発表されたこの日は、日本中が大騒ぎ。街では号外が配られた。先日、経済効果算出の第一人者である関大名誉教授の宮本勝浩氏(理論経済学)は、今世紀初のワールドシリーズ(WS)連覇を達成した大谷、山本由伸、佐々木朗希の日本人3選手がもたらしたポストシーズンの経済効果が約1328億円に上ると試算。今季セ・リーグを制した阪神優勝の経済効果、約1084億円をわずか1カ月で上回る驚異的な数字だと指摘した。
今季のド軍は大谷に加えて山本もWSで大活躍。NHKが地上波で放送した第6戦の世帯平均視聴率は、午前中にも関わらず、20.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の高視聴率をマークした。
一方、大谷が活躍し、ド軍が勝ち続けるほど、日本からMLBに巨額のカネが流れているのも確かだ。
大谷個人のスポンサー収入は150億円を超えるとみられ、米スポーツメディア「Sportico」(25年3月)によれば、ド軍の25年のスポンサー収入も約150億円に達するという。
「ド軍の意向もあって契約金は高騰の一途。日本企業の中には、撤退を余儀なくされるケースもある。山本の活躍もあり、ド軍のスポンサー契約料は来年以降、さらにハネ上がるとみられている」(広告代理店関係者)
「放映権料の急騰も予想されます」と言うのは、前出の宮本勝浩氏だ。
「MLBが主催するWBCは、動画配信サービスの『ネットフリックス』が来春の第六回大会の日本における独占放送権を獲得した。日本側は当初、MLBから放映権料として約150億円を要求されました。23年大会の30億円の実に5倍です。日本の民放テレビ局は撤退を余儀なくされました」
宮本氏は、主にNHKが放送するMLB公式戦の放映権料も高騰していると指摘する。
「ウォール・ストリート・ジャーナルによると、NHKは04年から09年までの6年間で総額約50億円(当時レート)の放映権料を払ったといわれる。しかし、現在の放映権料は大幅上昇。NHKと民放キー局を合わせて少なくとも年平均約150億円に達し、NHKがそのうち8~9割を負担しているとみられる。つまり、年平均で120~135億円をMLBに支払っている計算になります」
NHKの24年度決算によれば、受信料を含む事業収入は6125億円。放映権料が135億円だとすれば、収入の約2.2%を占める計算になる。
「MLBや日本の放送局は放映権契約の金額、年数を明らかにしていませんが、比較的、短期間で契約を更新しているとみられ、そのたびに放映権料は上がり続けている。今年の大谷選手や山本選手の活躍により、次回の契約更新時には年平均150億円から倍増となる300億円程度に急騰しても不思議ではない。日本側は契約を更新するたびにMLBの要求を受け入れてきた。MLBからすれば日本ほどオイシイ国はありません」(宮本氏)
仮に放映権が2倍になれば、NHKの負担は年平均で270億円規模に膨らむ。
「MLBと日本のテレビ局の窓口を担う電通が、東京五輪時の不祥事の影響で窓口として機能していないとの指摘もある。TBSとテレ朝によるWBCの放映権交渉が破談になったのも当然です。NHKは受信料収入が大半を占めるうえ、24年度は449億円の赤字を計上した。MLB側の値上げ要求にどこまで応じるのか。いくら視聴者が大谷を見たい、ドジャース戦を見たいと思っても、巨額の受信料がMLBに〝流出〟することには賛否がある。NHKは今後、難しい判断を迫られるかもしれません」
とは、前出の広告代理店関係者だ。
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そんな大谷は来季も打者に軸足を置いてプレーすることになりそうだ。本人がどれだけ投手としてフル回転したくでも、ドジャース首脳陣はブレーキを掛けざるを得ないのだという。いったいなぜか。その複雑事情とは。
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