立川談慶さん「師匠・談志の残した言葉は今も響く」

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立川談慶(落語家/60歳)

 故・立川談志の弟子の立川談慶さん。慶大出でワコール勤務から落語家になった変わり種で豊富な経験を生かし、著作も多い。談志の薫陶を受けた処世術、サラリーマンにも参考になる生き方とは。「人生は『割り勘』思考でうまくいく」(かんき出版)もユニークな発想が詰まった新刊だ。

  ◇  ◇  ◇

 割り勘というと、飲み会の会計でレジの前で1円まで食事代を計算する姿を思い出す人も多いと思います。私が考えている「割り勘」はそれとはちょっと違って、折半することではなく、基本的には何ごとも分相応に負担するという意味です。

 おごってもらう場合でもこっちは談志の裏話とか笑い話を提供して場を盛り上げる、持たせる。それが割り勘です。「今日は俺がおごるから次は頼むよ」でもいいし、大阪に行った時は払ってもらうけど、東京に来たらこちらが持つとか。

「割り勘」は物事を考える時に何かフックになるものはないか、そのためのとっつきやすい言葉がないかを考えているうちにふっと浮かび上がってきた言葉、キーワードです。

 割り勘は老害にならないための作法ですね。師匠の談志は75歳で亡くなりました。カリスマとして最後まで輝き続けた人ですが、なぜ老害と言われなかったのかというと若い人に希望を持っていたからです。若い人に希望を持っていると老害的なアドバイスなんかしなくなる。

 例えば象徴的なのはキリストの話。キリストはパソコンを扱えなかったけど、後からやってきた今の人は扱えるじゃないかと言っていた。つまり後からやってきた人間の方がすごいと言いたかったわけです。そういうメンタリティーを持っていると老害にはならない。若い人に教えてもらおうという考えですからね。子供にPCやスマホの使い方を教えてくれないかと言うことができる。子供に「さっき、教えたじゃないか」とか怒られながらね(笑)。

 女性に関しては好かれなくてもいいから、嫌われないようにする。体形や容姿は変えようがありませんが、嫌われないためには後天的な努力でなんとかなると思う。毎日洗濯したものを着て身支度を整え、清潔感をキープする努力をするとか。

 例えば、モテるという概念は時代とともにどんどん変わっている。バブルの頃のモテるはイケイケのお金持ちがトロフィーのような女性を連れて歩いているイメージだけど、ウチのカミさんいわく、今、女性が考えているモテるとは違うと。大事なのは嫌われないこと。そうじゃないと男も女も痛々しくなっちゃうんですね。例えばイケオジとか美魔女は周囲が言うならいいけど、自称イケオジ、自称美魔女みたいな人がたまにいるでしょ(笑)。

 参考になる談志の言葉も多いですよ。「人生は死ぬまでの暇つぶし」というのがあります。師匠が誰かからパクった言葉かもしれません。失敗しても「死ぬまでの暇つぶし」と言ってくれる人がいたらみんな救われるでしょ、ということです。今はみんな真面目なんです。人間は真面目には生きられない、真面目に生きるのは無理と教えているのが落語です。

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