ガールズイラストに見つめられてノックアウト!「ざしきわらしイラスト作品集 PEAFOWL」ざしきわらし著
「ざしきわらしイラスト作品集 PEAFOWL」ざしきわらし著
著者の名に覚えはなくとも、2年前の本屋大賞受賞作「成瀬は天下を取りにいく」(宮島未奈著)の表紙カバーに描かれた、主人公をイメージしたイラストを覚えている方は多いことだろう。
あのイラストをはじめ、アーティストや企業とのコラボレーション企画で描くガールズイラストで人気の著者の作品集第3弾。
ページを開けば、あの小説の主人公「成瀬あかり」のように、意志の強さが感じられる大きな瞳をした少女と大人の間くらいの若い女性たちが次々と現れる。
何か不満を訴えるようにちょっと口をとがらせて斜にこちらを見つめる子は、赤い髪にオレンジ色のパイロットキャップ、さらにその上にヘルメット型デバイスを装着して、手には何やら光線が出てきそうな銃状の機械を手にしている。髪に合わせて、ジャージー風の衣装や手袋も赤だ。
続くページの子は、ちょっとうるんだ瞳で真正面を、つまり読者を見つめる。丸襟のブラウスにセーターという、どこにでもいそうな装いながら、緑青のグラデーションにオレンジのメッシュが入った髪が印象的だ。
そのお隣に並ぶ子も、紫に染めた三つ編みをベレー帽からのぞかせ、ボレロ風の上着、ジーンズにサスペンダーと、おしゃれに決めている。
どの子もこちらを見つめてくるような視線で、男性読者はちょっとドキドキしてしまうかも。
中には、ブーツに仕込まれたバネで跳躍して、腰に差した日本刀を今にも抜き出そうとしている子)や、口元をサメの口を思わせるカラーリングのデバイスで覆った子、黒いダッフル風コートの背中に天使の羽のようなデバイスをつけた子など、SF的風味の作品もある。
ほかにも、ストリート系からレトロ、ミリタリーやガテン系など、女の子たちのファッションや髪色、持ち物まで、それぞれ個性豊かでバラエティーに富んでいる。
共通するのはその独特の色使いだ。
日本刀の子は、オレンジ色の髪に赤いコート、日本刀の柄もオレンジで、ブーツの靴底部分が赤と、カラーコーディネートもばっちりだ。
それぞれの子たちを際立たせるために、背景は単色で何も描かれていないが、1枚だけ、卒業式なのか満開の桜の木が立つ校舎を後にしてこちらに駆け込んでくる振り袖姿の子を描いた作品がある。
今にも物語が始まりそうな作品だ。もちろん彼女だけでなく、登場する121人全員にそれぞれの物語があり、その特徴的な瞳と見つめ合っているだけで、何かが始まるのかもしれないという予感さえ抱いてしまう。
書名のPEAFOWLとは孔雀の意。女の子たちのエメラルドグリーンと藍色が入り交じった澄んだ瞳が孔雀の尾羽の眼状紋のように見る者を惑わす。
(芸術新聞社 2750円)



















