「男性権力の神話」ワレン・ファレル著、久米泰介訳

公開日: 更新日:

女性専用車両」や「レディースデー」など、女性への優遇ばかりがあふれる昨今。女性の権利を拡張しようとするフェミニズムの台頭で、先進国ではあらゆる女性差別が糾弾されてきたが、一方で男性差別が増長してはいないだろうか。

 ワレン・ファレル著、久米泰介訳「男性権力の神話」(作品社 2300円)は、全米で30万部を記録したベストセラーの待望の邦訳。男性に対する性差別の実態を、余すところなく明らかにしている。実は著者はもとはフェミニストで、女性の社会進出を助ける活動に関わっていた。しかし、男性差別の存在やその根深さに気づき、男性差別問題を追究する“男性学”の研究者となったそうだ。

 例えば、司法における男性差別。本書では、女性だけに有利に働くバイアス(偏り)が多く、男性にはそれがほとんどないと述べている。まず、PMS(月経前症候群)のバイアスだ。1970年代、ある医師が「生理中や更年期の女性ホルモンが女性の意思決定に有害な影響を与える」と発表したとき、フェミニストたちは男尊女卑であるとして猛烈なバッシングを行った。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    清原和博氏が巨人主催イベントに出演決定も…盟友・桑田真澄は球団と冷戦突入で「KK復活」は幻に

  2. 2

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  3. 3

    99年シーズン途中で極度の不振…典型的ゴマすりコーチとの闘争

  4. 4

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  5. 5

    日銀を脅し、税調を仕切り…タガが外れた経済対策21兆円は「ただのバラマキ」

  1. 6

    巨人今オフ大補強の本命はソフトB有原航平 オーナー「先発、外野手、クリーンアップ打てる外野手」発言の裏で虎視眈々

  2. 7

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 8

    林芳正総務相「政治とカネ」問題で狭まる包囲網…地方議員複数が名前出しコメントの大ダメージ

  4. 9

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  5. 10

    角界が懸念する史上初の「大関ゼロ危機」…安青錦の昇進にはかえって追い風に?