「雑賀の女鉄砲撃ち」佐藤恵秋著
「こんな兵法、見たことがない」と感嘆の声を上げたのは、紀州雑賀衆の重鎮、太田左近宗正の長女・鶴だった。
鶴と次女の梟、三女の小雀、そして四女の蛍は鉄砲撃ちの家系に生まれ育ち、幼いころから鉄砲に魅せられていて、織田信長が鉄砲3000丁を揃えて武田騎馬隊を迎え撃つと聞いて、居ても立ってもいられなくなり、父に無断で、戦場を見下ろす茶臼山に潜り込んだ。
そして、天下最強といわれた武田騎馬隊が壊滅するさまを目の当たりにした蛍は、その後、「3人組撃ち」と呼ばれる分業速射術を編み出すのだった。
戦国を駆け抜けた女鉄砲撃ち4姉妹の活躍を描く冒険活劇。全編で展開される鉄砲撃ちたちの決闘シーンは必読だ。(徳間書店 2000円+税)