「リベラルの敵はリベラルにあり」倉持麟太郎著

公開日: 更新日:

 弁護士の著者は2015年、安倍政権下の安保法制の審議に関わった際に、憲法に象徴されるリベラルな価値への確信を心に秘めて論戦に臨んだ。だが、その思いはあっさりと砕け散った。その体験から「リベラルの敵はリベラルにある」との確信に至ったという。

 なぜなら、リベラルはその初期設定において「合理的で強い」個人を前提にするが、生身の人間は時に不合理な選択もする、説明のつかないはかなさや弱さを内包した存在である。さらにリベラルは自陣のロジックの正しさを、そのロジックが唯一絶対の正解であるかのごとく「上から目線」で語り続けるばかりで、生活者には届かない。

 政治を乗りこなすための羅針盤として、風前のともしびのリベラルな価値観を再生するための論考。

(筑摩書房 1100円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋