「香港雨傘運動と市民的不服従」周保松、倉田徹、石井知章著

公開日: 更新日:

 いま世界中のテレビニュース(ただし中国以外)で大々的な注目を集めるのが香港問題。直接のきっかけは「逃亡犯条例」への反対だが、2014年の雨傘運動からの因縁は明白。あれこそ若者だけの学生運動の域を超え、知識人、ホワイトカラー、工場労働者、定年退職者までふくむ「香港史上最大規模の全民衆による民主化運動」だった。

 もとをたどると、香港返還にともなう「一国二制度」を定めた基本法の前年(89年)に中国で大規模な民主化運動が起こり、天安門事件が勃発している。つまり、すべてはつながっているのだ。

 本書は香港中文大学のリベラルな学者を囲んで18年、東京で行われたシンポジウムの記録。視野を台湾にまで広げ、戦前から文化大革命を経て、いまにつながる民主化・近代化問題を論じた中村元哉著「中国、香港、台湾におけるリベラリズムの系譜」(有志舎 2600円)も役立つ。

(社会評論社 1800円+税)


【連載】本で読み解く激動の世界情勢の行方

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    草間リチャード敬太容疑者が逮捕…コンビニバイトと掛け持ちの苦労人だったが横山裕のセレクトに難あり?

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    自民党は戦々恐々…公明党「連立離脱」なら次の衆院選で93人が落選危機

  4. 4

    俺と巨人ガルベスの大乱闘の一部始終…落合博満さんのヘッドロックには気を失いかけた

  5. 5

    マエケンの「DeNA入り」が急浮上! 古巣広島まさかのNO、巨人はマー君が足かせで動けず

  1. 6

    まさかの故障で失意の最中「お前はラッキー」…トシさんの言葉がなければ今の俺はいない

  2. 7

    DeNA次期監督候補に谷繁元信氏が浮上…南場智子オーナーのイチオシ、本人も願ったりかなったり

  3. 8

    米倉涼子の"体調問題"が各界に波紋…空白の1カ月間に一体何が? ドラマ降板情報も

  4. 9

    参政党の党勢拡大に早くも陰り…「聖地」加賀市で“親密”現職市長が惨敗落選の波乱

  5. 10

    公明党が「自民との連立離脱も辞さず」の背景…まさかの“国政撤退”もあり得る深刻事情