「髪結おれん」千野隆司著

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 主人公は、神田小柳町の裏店で6歳年上の姉・お松と一緒に暮らしているおれん。早くに母を亡くし、4年前に父も亡くしたため、髪結いとして一人前になっていたお松のもとで、髪結いの修業をしていた。

 両替屋で手代になったばかりの弥吉から、自分が大番頭になったら所帯を持とうと告げられて、うれしさに胸が躍ったおれんだったが、弥吉は店の金を奪われたことから誤ってやくざ者を殺してしまう。しかも、そんなときに姉に気があるように振る舞っていた蔦次に、姉妹そろって命を狙われるという大事件が起こる。間一髪で助かったものの、お松は右腕を傷つけられて元のようには働けなくなってしまうのだが……。

 入り婿侍商い帖シリーズや長谷川平蔵人足寄場シリーズで人気の著者の最新作。本作は髪結いとしてけなげに働く姉妹に降りかかる苦難と、なかなか思うようにはいかない2人の恋愛模様を描いている。おれんに思いを寄せる郷太や、おれんのお得意さまである三味線の師匠・おえい、おれんの父親と船頭仲間だった八之助、妹を名乗るお房らが登場し、人情味あふれる時代小説となっている。

(KADOKAWA 1700円+税)

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