「行く先々で御意、御意と…」ドクターXプロデューサー語る

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「『2』では米倉さんと初顔合わせの俳優や女優をキャスティングしました。西田敏行さんもそのひとりです。ただ、今回の蛭間教授という役は西田さんが持つヒューマンな優しさがにじみ出る役柄ではありません。ゴッドファーザーのように笑って人を切る冷徹さと、哀れな人間味を出していただきたいとお願いしました」

 撮影現場では西田の名優たるゆえんを実感した場面もあった。

「西田さんは台本を覚えていらっしゃらない。こういうと語弊がありますけど、現場にすっと入ってセッションのように芝居を組み立てるんです。で、時々脚本から脱線してアドリブを加える。プロデューサーとしては脚本家と練って練って作ったセリフやシーンです。セリフを変えられると他の方も困る。でも西田さんは脱線するんですけど、アドリブで加えるセリフが見事。確実に視聴者の心にはそっちのセリフの方が届いていると思わされる瞬間がある。スゴイなと思うと同時に、なんでそう書けなかったのかなと、悔しい思いをしたこともありました」

――具体的には?


「たとえば蛭間教授が岸部一徳さん演じる神原晶に<次から2つ請求書を持ってくる時は、メロンは2つにしてね>と話すシーン。手土産のメロンを更にもうひとつ要求する場面です。ここまでは脚本です。我ながら名セリフだと思ってたら、西田さんはその後に<好きなのよ>と言葉を続けた。私は、はっ? 何を言い出すんだろうと思ったら、<好きなのよ、1個丸ごと食べるのが>とおっしゃった。これはもうセリフではなく、蛭間自身が発した言葉です。半分でも4分の1でもなく、“1個丸ごと”というこのフレーズから、蛭間という男の欲張った感じやガッツキ感が生々しく視聴者に伝わった。西田さんは、<ごめんね、台本にないのに>と笑ってましたが、これは考えて書けるセリフではありません。蛭間になり切っている西田さんだからこそ発することができた言葉だと感じました」

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