帝釈天から始まる「TOKYOタクシー」は「男はつらいよ」ファンが歩んだ歴史をかみしめる作品

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 山田洋次監督、倍賞千恵子、木村拓哉ダブル主演の「TOKYOタクシー」が、公開初日から3日間で興行収入2億9300万円、振替休日を含めた4日間で4億円を突破するヒットになった。94歳の山田監督による91本目の長編映画が、これほど注目されたのはなぜだろう。

 作品の話題は多い。題材は、日本でも公開時にスマッシュヒットになったフランス映画「パリタクシー」(2022年)のリメ-ク。終活してついのすみかとなる施設へ向かう老婦人と、彼女を乗せたタクシー運転手の一日の触れ合いを描き、今回のリメイク版では老婦人を倍賞が、タクシー運転手を木村が演じている。また木村拓哉は「武士の一分」(2006年)以来、19年ぶりの山田作品への出演で、2人の新たなコラボレーションにも期待が集まった。さらに言えば、木村と倍賞は宮崎駿監督の「ハウルの動く城」(2004年)で声の出演者として共演していて、彼らのタッグも魅力のひとつ。

 主演の2人にインタビューする機会があったが、木村は「倍賞さんとは『初めまして』ではないので、自然に芝居に入って行けました」と言っている。「ハウルの動く城」のときには、すぐ傍に宮﨑監督や鈴木敏夫プロデューサーがいて緊張し、倍賞とはちゃんと話す余裕がなかったというが、今回はインタビューのときに2人が並んでいても、現場で仲が良かったことが伝わってきた。倍賞は木村のことを「ジェントルマンな人だから」と言っていたが、木村が常に倍賞のことを気遣って自分の身を置いている感じが、劇中の老婦人と運転手の関係性を思わせた。またそれは、「ハウルの動く城」のソフィーとハウルの関係性にも通じるところがあって、あの映画の“ふたりが暮らした”というキャッチコピーの通り、かつて映画で共にひとつの城で暮らすキャラを演じた2人が持つ、共鳴感が今回の映画には効果的に働いている。

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