著者のコラム一覧
坂倉昇平

1983年、静岡県生まれ。東京都立大学人文学部卒、京都大学大学院文学研究科修士課程修了。若者の労働問題・貧困問題に取り組むNPO法人「POSSE」理事兼雑誌「POSSE」編集長。近著に「AKB48とブラック企業」(イースト新書)がある。

「総選挙」直前連載 AKB48はブラック企業なのか<4>

公開日: 更新日:

 そして、転勤を伴う配置転換は、生活のすべてを会社優先にさせられるという問題がある。しかもそこでは、命令を受けたら引っ越しを断るという権利すら、当然のようには認められないのだ。

 今回の大組閣でも事件が起きた。当時15歳のメンバーが、春から高校進学が決まっていたにもかかわらず、東京から名古屋への移籍をこのイベントで突然指示された。家庭や高校のことなどさまざまな事情から、彼女は移籍を断念した。その決断に際して、彼女はいかに自分が苦悩し、悔やんだうえの決断だったかを丁寧に説明せざるをえなかった。AKBにおいて命令を拒否するという選択は、非常に難しいことなのだ。

 この転勤命令を後押しするために、秋元康は「前しか向かねえ」というシングルを書いている。この歌は〈離ればなれになっても、現状にしがみついたり、振り向いたりするな〉というメッセージソングであった。

 単なる春に合わせた定番の卒業ソングや、大島優子の卒業ソングではなく、メンバーに大組閣の困難を受け入れさせる自己啓発という役割が託されていたわけだ。実際、大組閣を受けて「前しか向かねえ」と発言し、自分を納得させるメンバーが続出したのである。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    国分太一「すぽると!」降板は当然…“最悪だった”現場の評判

  2. 2

    石田ゆり子ブームは終わらない? ベリーショートに賛否、脱「奇跡の50代」でも人気加速

  3. 3

    国分太一コンプラ違反で「周囲が感じていた異変」…過去にはガングロに"変身”して問題起こした有名人も

  4. 4

    TOKIO国分太一「コンプラ違反」秘匿も次々に“セパ報道”で窮地に…復帰は極めて困難な道のりに

  5. 5

    「いっぷく!」崖っぷちの元凶は国分太一のイヤ~な性格?

  1. 6

    《ヤラセだらけの世界》長瀬智也のSNS投稿を巡り…再注目されるTOKIOを変えた「DASH村」の闇

  2. 7

    元女優・宮崎ますみさんは6年前から八ヶ岳山麓に移住しコメ作り 田植えも稲刈りも全部手作業

  3. 8

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  4. 9

    小泉進次郎「無知発言」連発、自民党内でも心配される知的レベル…本当に名門コロンビア大に留学?

  5. 10

    巨人阿部監督 グチるくらいならいっそ「4番・坂本勇人」はどうだろう…“進退の決断”含めた4つの理由