著者のコラム一覧
坂倉昇平

1983年、静岡県生まれ。東京都立大学人文学部卒、京都大学大学院文学研究科修士課程修了。若者の労働問題・貧困問題に取り組むNPO法人「POSSE」理事兼雑誌「POSSE」編集長。近著に「AKB48とブラック企業」(イースト新書)がある。

「総選挙」直前連載 AKB48はブラック企業なのか<1>

公開日: 更新日:

卒業は「ステップ」か「使い潰し」かそれが問題だ

 5月25日に発生した握手会の襲撃事件によって、メンバーの川栄李奈(19)、入山杏奈(18)、警備のスタッフが負傷した。メンバーたちの精神的ショックも大きかったようだ。とくに現場を目の当たりにしたメンバーは、事件がフラッシュバックするという深刻な後遺症を明かしており、手厚いケアが求められている。

 この事件を契機に、これまでも何度か繰り返されてきたように、握手券によってCDを販売する、いわゆる「AKB商法」をめぐる賛否が巻き起こっている。その中のフレーズに「AKBはブラック企業」というものがあった。

 確かにAKBは多くの労働問題を抱えている。だが感情的な応酬では、重要な論点を見失ってしまう。メンバー自身のためにも、慎重な検証が必要だ。議論を冷静にするために、まずはブラック企業の定義を確認したい。

 インターネットの書き込みを発祥として若者に広がっていたブラック企業という言葉は、当初は明確な定義もなく「違法行為を行う企業」程度のニュアンスだった。

 しかし現在では、正社員の若者を育てようとせず、彼らを「大量離職」を前提に「大量採用」し、長時間労働やパワハラによって「使い潰す」ことがブラック企業の本質であるという共通理解が確立されてきている。この「使い潰し」によって体を壊され、うつ病に罹患(りかん)する若者が続出している。厚労省のブラック企業対策も、この認識によるものだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  3. 3

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  4. 4

    “最強の新弟子”旭富士に歴代最速スピード出世の期待…「関取までは無敗で行ける」の見立てまで

  5. 5

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  1. 6

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  2. 7

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  3. 8

    福島市長選で与野党相乗り現職が大差で落選…「既成政党NO」の地殻変動なのか

  4. 9

    Snow Manライブで"全裸"ファンの怪情報も…他グループにも出没する下着や水着"珍客"は犯罪じゃないの?

  5. 10

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です