芸能の価値観伝授 はしのえみを育てた“父親”萩本欽一の至言

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 でも、お客さまにとっては何回ご観覧になっても新鮮味がありますし、役者の緊張感が舞台から伝わってきますから、見飽きないんですね。

 特にうれしかったのは初日です。無我夢中で演じて幕が下りたら、欽ちゃんは「よく頑張ったね」ってねぎらってくれました。その言葉を聞いた途端、涙が止まりませんでした。劇団に入って以来「頑張ったね」って言われたことが一度もなかったし、それまでの努力がようやく認められたと思うと、うれしさが込み上げてきて……。

 こんなこともありました。その日、私は3つのシーンでアドリブを入れたのですが、ひとつスベったんですね。それで終演後、怒られるに違いないと思って、ビクビクしながら楽屋へおわびに行きました。すると欽ちゃんは「もし、全部うまくいってたら、それでおしまいだけど、ひとつ失敗したことで、次はどうしたらいいかって考えるだろ。だからこれから芸能界で生きていくなら、ひとつ失敗したのは正解」って。

 最後の座長公演ですから、ご自分のことと全体の公演を見ることで頭がいっぱいで当然なのに、私の将来まで考えてくださった。

 人としての価値観を教えてくれたのは両親ですが、芸能界の価値観を身をもって伝授して下さったのは欽ちゃん。やはり「芸能界の父親」なんだなって実感しています。

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