芸能の価値観伝授 はしのえみを育てた“父親”萩本欽一の至言

公開日: 更新日:

 でも、お客さまにとっては何回ご観覧になっても新鮮味がありますし、役者の緊張感が舞台から伝わってきますから、見飽きないんですね。

 特にうれしかったのは初日です。無我夢中で演じて幕が下りたら、欽ちゃんは「よく頑張ったね」ってねぎらってくれました。その言葉を聞いた途端、涙が止まりませんでした。劇団に入って以来「頑張ったね」って言われたことが一度もなかったし、それまでの努力がようやく認められたと思うと、うれしさが込み上げてきて……。

 こんなこともありました。その日、私は3つのシーンでアドリブを入れたのですが、ひとつスベったんですね。それで終演後、怒られるに違いないと思って、ビクビクしながら楽屋へおわびに行きました。すると欽ちゃんは「もし、全部うまくいってたら、それでおしまいだけど、ひとつ失敗したことで、次はどうしたらいいかって考えるだろ。だからこれから芸能界で生きていくなら、ひとつ失敗したのは正解」って。

 最後の座長公演ですから、ご自分のことと全体の公演を見ることで頭がいっぱいで当然なのに、私の将来まで考えてくださった。

 人としての価値観を教えてくれたのは両親ですが、芸能界の価値観を身をもって伝授して下さったのは欽ちゃん。やはり「芸能界の父親」なんだなって実感しています。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い