公開日: 更新日:

「日米軍事近現代史」山崎雅弘著

 強気なタカ派姿勢の目立つ首相のもと、国防への関心が高まっている。

◇

「日米軍事近現代史」山崎雅弘著

 ちょっと前まで外交や安全保障関連で金科玉条のごとく唱えられたのが「日米同盟」。ところがホルムズ海峡封鎖問題でトランプが「同盟国を試す」と言い出した途端、「日米同盟は大前提」を聞かなくなった。要は親分の機嫌に振り回されるヤバさをやっと自覚したということか。現に米主要紙もトランプ-高市会談を前にこぞって「日米同盟の試練」と報じた。

 そんな“危うい同盟”に至るまでの日米関係をペリー来航からたどったのが本書。著者は戦史・紛争史研究家。かつては歴史上の会戦を題材にしたシミュレーションゲームで世界的に知られたゲームデザイナーでもあっただけに、わかりやすく平明に開国以来の日本の国防史を説明してくれる。

 いい意味で教科書的な仕上がりだが、自衛隊の創設にアメリカの意図と巨額の財政支援があったこと、当時の吉田茂首相が現在の防衛省の前身にあたる保安庁を創設した際の訓示で(目的は)「新国軍の建設である」と言い切ったことなどにもしっかり言及してある。ゲーム制作者として過去の敗戦の原因にも強い関心を持ったはずだけに、さりげなく独自の視点が光る良書だ。 (朝日新聞出版 990円)

「〈国防〉の日本近現代史」一ノ瀬俊也著

「〈国防〉の日本近現代史」一ノ瀬俊也著

「国防」とは何か。昭和初期のある軍人は「国家を保護し、国権を維持宣揚すること」と言った。現代人の感覚にはそぐわない堅苦しさだが、では国防とは「何から、何を、どうやって」守るのか、その考え方自体が歴史的に変化してきたのではないか。

 こう考える著者は日本と戦争の近現代史を専門とする歴史学者。本書もペリー来航以来の歴史を俎上に載せるが、高校や大学の教科書としての用途を念頭に置いたのか、著者自身の見解よりも歴史学者によって異なる見方を淡々と紹介する点が特徴。たとえば戦後憲法はアメリカによる「押しつけ」か否か、戦力放棄をうたった9条を日本国民は歓迎したのかどうか。天皇制の保持と引きかえに戦争放棄を受け入れたという「政治的実利」説のほか、日清日露戦争時代から非戦・反戦論があったことを強調する見方もあれば、自身が「国民の象徴」に祭り上げられることに天皇自身は不服だったとする見方もある。9条への賛否も実は当時は政治的な調査ができなかったために「9条意識は不明」とするのが「最も誠実」とする見方もあるという。新書にしてはずしりと重い重量級で議論の素材を提供している。 (講談社 1540円)

「13歳からの戦争学」小川和久著

「13歳からの戦争学」小川和久著

 冷戦終結直後の湾岸戦争時から軍事アナリストとして知られてきた著者。80歳を迎え、未来をになう世代に国防のイロハを教えようとしたのが本書、というところだろう。

 たとえば日米安保。日本が攻撃されたらアメリカは「自国の憲法上の規定及び手続きに従って」の条件つきで日本と一緒に戦うだけ。つまりアメリカは自動的に日本を守ってくれるわけではなく、議会が反対すれば日本は単独でやるほかないのだ。それゆえ著者は日本との同盟がいかにアメリカの国益にかなっているかを積極的にアピールすべきという。在日米軍の駐留経費のおよそ9割を負担しているのは世界で他にない。同盟国としての信頼性も抜群だ。それらをアメリカの世論に認識させる努力をしなさ過ぎる、と懸念する。また防衛費を増額し、自国の防衛能力も高める。スパイ防止法を整備し、社会の認識が低すぎることも自覚すべきとする。

 あとがきでも「戦争は悲惨だ」「平和が大切だ」ばかりでなく、「どうすれば戦争を防げるのか」という肝心な問いを考えてほしいという。テレビでの語り口と同様、ソフトな口調で国防力強化を主張している。 (アスコム 1870円)

【連載】本で読み解くNEWSの深層

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    萩本欽一〈55〉仮死状態で生まれた三男、「視聴率30%と交換してくれ」と星空に願ったら…

  2. 2

    まるで高市首相就任の“ご祝儀”箇所付け…地元奈良の選挙区ばかり交付金「最大6.24倍」増額の仰天

  3. 3

    日本ハム「織田翔希ドラ1強行指名」に現実味 メジャー挑戦を揺るがす制度変更が“付け入る隙”に

  4. 4

    巨人復帰有力の阿部前監督に「補強最前線」の大仕事 標的の床田寛樹は阪神と争奪戦、森下暢仁はメジャー挑戦公言

  5. 5

    日テレ森圭介アナは社労士合格 「news LOG」和久田麻由子アナ、さらなる飛躍を目指せる「資格試験」のススメ

  1. 6

    大谷翔平に“限界説”…米スポーツ誌は「投手断念」と指摘、左膝は2度目の手術の可能性も

  2. 7

    リール上田綺世が「足底筋膜」完全断裂でアジア杯絶望…森保J「1トップ」奪取狙う若手FW3人の名前

  3. 8

    維新・中司宏大臣ついに国会で追及される!「裏金疑惑」証拠音声データ「自分の声だ」認めた

  4. 9

    (1)阿部監督の暴行事件は巨人にとって“渡りに船”だったか…異様に早い「解任判断」の裏側

  5. 10

    声優・講談師の麻上洋子(一龍斎春水)さん 童謡詩人・金子みすゞの伝承イベントをライフワークに

おすすめ求人情報

事務・オフィスワーク系/建築鉄骨の積算
株式会社丸山製作所 群馬県 前橋市 正社員
月給20万円~35万円
髪色・ネイル自由のオフィスワーク/未経験歓迎の電話対応カスタマーサポート
株式会社APパートナーズ@接客@昇給 北海道 札幌市 アルバイト・パート
時給1,400円~1,500円
福岡市内・北九州から勤務地選べる/派遣のオフィスワーク/シフトも選べる
株式会社ベルシステム24 福岡県 福岡市 派遣社員
時給1,240円~1,450円
「分譲マンション管理フロント業務」昭和53年創業/年間休日120日/7割オフィスワーク
株式会社クリーンリバー 北海道 正社員
年収400万円~500万円
Sponsored by 求人ボックス