著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

「お酒は少量なら脳に良い」は本当なのか…アルコールと認知症リスクの関係

公開日: 更新日:

「酒は百薬の長」と言われてきましたが、本当に脳にもほどほどなら良いのでしょうか?

 高齢化がますます進み、認知症は誰にとっても他人事ではありません。そんな中、アルコールと認知症リスクの関係を改めて検証した研究が報告されました。2025年に発表された国際的な系統的レビューとメタ解析では、世界各国の観察研究を統合し、飲酒量と認知症発症リスクの関連を詳細に解析しています。対象となったのは約2400万人規模。これまでバラバラに報告されてきた研究結果を、まとめて評価した点が特徴です。

 解析の結果、多量飲酒は認知症リスクを明確に高めることが示されました。一方で、少量~中等量飲酒については「リスクが低い可能性がある」とする結果も見られましたが、その効果は決して一貫したものではなく、研究間のばらつきも大きいとされています。

 ここで重要なのは、「少しなら安全」「少量なら脳に良い」と単純に言い切れない点です。著者らは、健康な人ほど適量飲酒にとどまっている可能性を指摘しています。また、飲酒量の自己申告の不正確さや、飲酒習慣の変化が十分に反映されていない点も限界として挙げられています。

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