大河では裏切り者…温水洋一は希有な“中間管理職”キャラ
好発進した大河ドラマ「真田丸」(NHK)。堺雅人、大泉洋、草刈正雄の親子のやりとりに見応えがあるが、脇役陣も豪華ですごい。
中でも温水洋一は、ふだんの温和なキャラとまったく違ってインパクトがあった。役柄は武田家親類衆の小山田信茂。織田信長の勢力が強くなった1回目で“武田はどうするか”の話し合いの際、真田昌幸(草刈)が「引く」ことを提案すると、鬼のような形相で「尻尾を巻いて逃げると申すのか!!」「おじけづいたか!!」と凄みをきかせた。
さらに「誇りを懸けた武田の戦いをっ!!」と武士の魂を見せたかと思うと、武田に個別に「岩櫃(城)は危のぉ~ございます」と鋭い目つきで進言し、岩殿城へ誘導する。
だが、さっさと自分だけ敷地内に入ると「親方様を通してはならぬ」と無気味な笑みで裏切る。
しかし、2回目では「岩殿城の兵200人、信長公に差し上げます」と織田勢に自信満々に頭を下げたのに、裏切り者は必要ないとか言われ、その場で打ち首に! ヒーローになり切れなかった信茂の滑稽さというか、ライバル社に転職したのにあっさりクビ切りされた中間管理職みたいな悲哀を感じさせた。なんとも希有な俳優だ。