映画「ブルックリン」はアイルランド版“三丁目の夕日”か
映画ライターの平田裕介氏はこう言う。
「上京、就職、ひとり暮らしといった多くの人間が生きていく上で経験する出来事の不安や葛藤を丁寧に描いている。“共感項”の非常に多い作品だと思います。それに、主演のシアーシャ・ローナンの演技も良かったですね。50年代当時のお尻やウエストを強調した衣装が映えるよう、太ってふっくらした体つきで挑んだようにも見え、プロ意識の高さを感じさせた。アイリッシュカラーと呼ばれる瞳の色や木々の緑など色彩も鮮やかで美しい。僕は43歳のオッサンですが、変に奇をてらわず、ひたむきに生きるさまを描いたこの作品に心が打たれました」
アイルランド、イギリス、カナダによる合作で、アイルランドでも大ヒットしたという。古くは世界で最も貧しい国ともいわれたが、アイルランドは14年、15年と2年連続で欧州一の経済成長率を達成。日本では「三丁目の夕日」がヒットしたが、当時を懐かしめる余裕が出てきたということなのかもしれない。