シネマライズ元支配人が語る「渋谷ミニシアターブーム」

公開日: 更新日:

「脚本うんぬんより、どこか“尖って”いることが大事。大ヒットした『ムトゥ 踊るマハラジャ』(95年、インド)も、まだマサラムービーなんてほとんど知られていない時代の作品だけど、“来る”予感は感じられた。何しろ渋谷で大手がバックにない独立系の劇場は、うちとユーロスペースくらい。コケたらみんな食えないわけで、背負っているものが違うぞって自負はあったね」

「T2 トレインスポッティング」はスコットランドを舞台に、ヘロインに溺れながらもあがき続けた4人の若者の20年後を描いている。この間、前作に熱狂した渋谷の街も大きく変わった。ブームを牽引したシネマライズも、昨年1月に惜しまれつつ閉館となった。

「アート系映画を見る人々が年を取り、作り手も中高年向けに作品を作るようになり、質の高い尖った作品が減った。さらにバブル崩壊後、1800円の入場料が徐々に重荷になってきて、若者にミニシアター文化が受け継がれなくなってしまった。でもね、ダニー・ボイルはデビュー2作目で前作を撮って、その後どんどん腕を上げ、ついにオスカーまで取った。そんな彼があえて20年も待って作っただけあって、『T2』はホントに久々にいいと思える映画だよ」

 背伸びして選んだアート系映画を観賞して内容はチンプンカンプンでも「なんかいいよね」とほほ笑みあえば、それでコト足りた幸せな時代が確かにあった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」