著者のコラム一覧
クロキタダユキ

リリーのすべて(2015年・英国)

公開日: 更新日:

 20世紀初頭、世界初の性別適合手術を受けた男性の実話を映画化した。

 画家アイナーは、同じく画家の妻ゲルダにストッキングをはいた女性モデルを要望される。それを機に自分の中で眠っていた真の人格に目覚め、女性“リリー”として生きることを決意する。婦人用のひらひらしたナイトガウンを着て寝ようとする夫に、妻は動揺。そんな妻に夫が吐露した言葉だ。

 ペニスを股間に挟み、女性みたいなポーズで鏡の前に立つ。子供の頃にやったことがあるであろうポーズを、若手演技派エディ・レッドメインが女性として目覚めていく過程を丁寧に演じている。本当にLGBT(トランスジェンダー)ではないかと思わせるほど、役に入り込んでいて危険な美しさにクラクラする。

 正直に生きようとする主人公を最初は困惑しながら、最後まで献身的に支える妻を美人女優アリシア・ビキャンデルが演じる。アカデミー助演女優賞を獲得するのも納得の好演で、熱くなるのが分かる。

 周囲に理解されずとも妻と友人だけには理解され、懸命に生き抜いたLGBTの愛の物語。異色のラブストーリーは、映像も美しく、最後まで不思議と引き込まれていく。家族や知人がLGBTだったら、どうするか。対処法が分かる一本だ。

【連載】セリフ1つ読む映画

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」