著者のコラム一覧
クロキタダユキ

T2 トレインスポッティング(2017年 英国)

公開日: 更新日:

 1996年公開の「トレインスポッティング」で、仲間を裏切り大金をネコババして故郷を捨てたレントン(ユアン・マクレガー)が、再び故郷に戻る。青春映画の続編は、大人になりきれない大人の騒動を描く。

 ヘロイン中毒で家族や職に見放され自殺を図った親友を救うと、2人は野山をジョギングしながら語り合う。その際、親友に投げた言葉だ。

「何かしなくちゃ」と思いつつもダラダラと年を重ねる大人たちの姿に、「こんなヤツいるよな」と気軽に楽しめる。「スラムドッグ$ミリオネア」でアカデミー監督賞を手にしたダニー・ボイルは前作同様、イギー・ポップやアンダーワールドなどUKポップで軽さを演出し、都会的な映像が続く。それがカッコよく、マジでご機嫌な気分になって癒やされる。

 誰しも若くありたいと思っていても、年だからとあきらめてしまう。そんな後悔を吹き飛ばすバカ騒ぎの連続だ。

 仲間のなかで一番ダメだと思われていた男が、女友達の説得で自分たちのことを小説にする。

 ラスト、出来上がった原稿を出版社に持ち込むと、編集者から「タイトルは何にするの?」と尋ねられ、小説が採用されるところが面白い。前作の話の流れは、その小説だったのかもしれない。

 異色の青春ドラマは、前作と続けて見るのがお薦めだ。

【連載】セリフ1つ読む映画

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし