著者のコラム一覧
片岡たまき

神奈川県平塚市出身。元RCサクセション・マネジャー兼衣装係。夫は「パスカルズ」のバンドマスター、ロケット・マツ氏。著書に「あの頃、忌野清志郎と」(宝島社)。

優しい大家さんはガンコ婆に 実体験を巧みに詞をアレンジ

公開日: 更新日:

 清志郎の曲作りには、見事なストーリーテラーぶりが発揮され、実体験を巧みにアレンジし、詩情豊かな世界を生み出す。

 シングル曲「スローバラード」は、当時、発売から1年足らずで廃盤となったが、のちにソウルバラードの傑作と評価された。市営駐車場に止めた車の中で彼女と夜を過ごしたことを歌にし、「ぼくら夢を見たのさ とってもよく似た夢を」と切々と歌い上げる。清志郎によると、実際は見回りにきた警官に注意されて、警官を非難する内容も含んでいたという。それを彼女に制止され、ラブストーリー仕立てになった。きれいな部分を残して結晶化した結果、名曲としてのちに受け入れられた。彼女の的確なアドバイスが功を奏したわけだ。

「リアルな現実と、歌詞の世界は別。清志郎さんは、現実を咀嚼してアレンジする達人です。『誰かがBedで眠ってる』(83年)では、交際を反対した彼女の父親が怒鳴り込んできた場面を歌詞に。『あんたのハゲ頭で ふたりの未来を明るく照らしてくれよ』と締める。転んでもただでは起きない、骨の髄まで表現者です」


 ひとつの詞を書き上げるまでに何冊ものノートを使った、という清志郎の逸話は有名。その姿勢にはブレがない。一貫して中心に自分がいる。しかし、この才能も世間に認められるまでには、まだ数年の暗黒時代がある。清志郎はこの頃、極貧にあえいだ末、唯一のバイト経験である「キャバレーのサンドイッチマン」をして、父親に「おまえは偉いな。度胸がある」と褒められたそうだ。

(つづく)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  2. 2

    強いショック状態の清水アキラに心配の声…子供を亡くした神田正輝らもたどった遺族ケアの道のり

  3. 3

    石原プロ「炊き出しの流儀」 被災地一番乗りがエラいわけではない

  4. 4

    横浜流星「BL作品興味なし」発言に滲むプロ意識 「べらぼう」後初の民放連ドラ主演で注目

  5. 5

    三男・清水良太郎さん急死で清水アキラ沈痛…8年越しの「父子再共演」が始まったばかりだった

  1. 6

    “DAIGOの妻”となった北川景子が「家売るオンナ」で本格復帰

  2. 7

    『ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス』「5人目」の見事なギターに出し抜かれたジョージの悲哀

  3. 8

    「VIVANT」1強ムードの陰で…蒼井優「Tシャツが乾くまで」が呼び覚ます"連ドラ本来の快感"

  4. 9

    趣里が裏切り不倫報道の夫・三山凌輝に三くだり半を突きつける“Xデー”…伊藤蘭と水谷豊もついに離婚要求か

  5. 10

    橋本愛の“熊本お見舞いメッセージ”まで批判する声に違和感…思い出される杉良太郎「偽善でもいい」の信念

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    【2026夏の甲子園】初戦で「勝つ高校」「負ける高校」完全予想!横浜vs沖縄尚学の超好カードは…

  2. 2

    支持率急落の高市政権がV字回復画策 内閣改造でクビ切り不可避な“ポンコツ”5大臣の名前

  3. 3

    黒川紀章設計「戦没者慰霊塔」も丹下健三設計「香川県立体育館」も解体…財政難で維持できなくなった名建築

  4. 4

    2026夏の甲子園「優勝校はココだ!」 本紙と専門家が徹底予想、“対抗”含む5校を紹介

  5. 5

    球宴を見ていて腹が立った 「祭り」と「遊び」をはき違えるな

  1. 6

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  2. 7

    「愛子天皇」潰しは賛成で、消費税減税はなぜ反対? 玉木国民民主の「公約違反」がネットで袋叩き

  3. 8

    トランプ大統領もそっぽ 表面化した日米包囲網「反高市」うねり急拡大…2大後ろ盾が剥落

  4. 9

    三男・清水良太郎さん急死で清水アキラ沈痛…8年越しの「父子再共演」が始まったばかりだった

  5. 10

    「朝」「彦」「憲」「恒」…旧宮家に残る皇族意識 養子制度で改めて注目された「通字」