二十歳の誕生日…たったひとつの“おめでとう”が欲しかった

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 仕事も大事だけど私にとっては一生に一度の特別な特別な日だ。そして、彼が、誕生日を祝いに、私の家まで迎えに来てくれる時間が迫っていた。それは取材や何やらで瞬く間に過ぎていった。

 マネジャーに言うわけにもいかず、焦りを隠して平然とした顔をしていた。携帯のない時代、遅れるという連絡もできない。オートロックのマンションの玄関を走り抜け、エレベーターを待たずに階段で3階まで駆け上がる。息を切らしながら自宅のドアを開ける。そこで待っていたのは母だけ。彼はずっと車で待っていたようだが、プレゼントを母に託して自分の仕事に行ってしまった後。タッチの差であった。

 こんな特別な日にも会えない。悲しくて寂しくて涙があふれる。たくさんの「おめでとう」より、たったひとつの「おめでとう」が欲しかった。子供のように泣いた。声を上げ泣いた。好きな人に会いたい、ただそれだけなのに。そんな普通のことができない……。

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