「誰のおかげで飯食ってんだよ」同年代アイドルの怒声に…

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新田恵利編<7>

 埼玉の県立高校を卒業しブレザーの制服を脱ぐと、芸能事務所に入った。松崎しげるさんを筆頭に大場久美子さん、松本伊代さん、本田美奈子さん、少女隊ら先輩に豪華な顔ぶれが揃ったところで、勧められるがまま入り、契約書を交わした。最初は月給15万円。休日なし。そして、東京都新宿区の下落合に引っ越した。

 心無い一部ファンの追っかけで地域の居場所を失い、家族で肩身の狭い思いをしていたし、父が亡くなったばかりで、思い出が多く残る家に住むのはつらく、母兄と相談し決断したのだ。

 東京に住めば、3時間だった睡眠時間が増えると期待したが、甘かった。分刻みのスケジュール。目の回る忙しさは相変わらず。事務所にはタレントのスケジュール帳があり、私は勝手に「休」と書いた。そして空欄に長い長い線を引いてスケジュールを押さえたようにして、社長の筆致をまねてサインした。これはマネジャーが恐る恐る社長に問い合わせ、すぐにばれた。怒られた。イタズラといえばそうだけど、それで万が一でも休みにならないかなぁと思ったのである。

 事務所に入って変わったのは、マネジャーの送迎がついて、移動が安全になったことくらい。収入は逆に減った。おニャン子の場合、歌唱印税はソロで曲を出しても、全てメンバー全員での頭割り。「花嫁資金」としてスタッフが分け隔てなく平等にと、決めたことだ。「冬のオペラグラス」も同じこと。私は歌唱印税さえ知らない、欲のない子供だった。

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